人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

メニュー

ここからコンテンツです

  • 2016年11月11日(金)放送

テーマ / 高齢者 ジャンル検索

YouTubeで音声を再生します。

PDFダウンロード
ぼくのひいおばあちゃん
 今日は、北九州市教育委員会が平成二十七年度に募集した人権作品の中から、北九州市八幡西区の小学六年生、中道泰貴くんの『ぼくのひいおばあちゃん』という詩を紹介します。本人の朗読でお聴きください。

 『ぼくのひいおばあちゃん』
北九州市立黒畑小学校六年 中道泰貴

 ぼくのひいおばあちゃんは九十三才
 最近は、認知症がひどくなり
 何でもすぐ忘れてしまう。
 子どものことが分かっても、
 孫、ひ孫のことは、覚えていない。
 朝起きてから
 会いに行ったとき、
 「いらっしゃい。何年生。」
 と毎日、何度も聞かれた。
 「こんにちは。六年生です。」
 とぼくは、何度も答えた。
 祖父が干した洗たく物を
 二分後には取りこもうとする。
 クーラーのきいている部屋で、
 「暑い。」
 と言って窓を開けたり閉めたりする。
 毎日、何回も
 同じことをしたり、言ったりのくり返し。
 
 昔、元気なときは、
 じっとしているのを見たことがないくらい
 働き者だったひいおばあちゃん。
 一人では、できないことが増えたけれど、
 だれかが力を貸したら、
 生活していける。

 働き者だったひいおばあちゃんのおかげで、
 今のぼくがある。
 これからも、ひいおばあちゃんの力になりたい。

 いかがでしたか。
 泰貴くんのひいおばあちゃんは、認知症になりました。認知症になると、うまく覚えることができなかったり、時間の感覚が分からなくなったりするため、周りのサポートが大切です。
 泰貴くんは、ひいおばあちゃんに「何年生。」と毎日、何度も問い掛けられ、「六年生です。」と繰り返し答えています。ひいおばあちゃんの変化と現実をしっかり受け止め、相手に寄り添って対応しているのですね。
 そんなひいおばあちゃんを見守りながら、泰貴くんは、「誰かが力を貸したら、生活していける。」と感じます。認知症の本人は普段から不安を抱えていますが、周囲の人との温かいコミュニケーションによって安心できるといわれています。泰貴くんはそのことを理解したんですね。そして、「ひいおばあちゃんの力になりたい。」と力強い決意を語っています。
 誰でもなる可能性のある認知症。私たちも泰貴くんのようにしっかり理解し、相手に寄り添う気持ちを大切にしたいですね。
 では、また。