人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年11月18日(金)放送

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正しい認識を社会に広めたい
 元テレビアナウンサーの藪本雅子さんは、ハンセン病の取材をきっかけに記者に転身し、今は人権問題や差別解消を社会に訴える活動に取り組んでいます。今日は、北九州市で開かれた薮本さんの講演から、ハンセン病問題に寄せる薮本さんの思いをお伝えします。

 藪本さんは一九九一年にテレビ局に入社し、アナウンサーとして活動する中で、ハンセン病のことを知り、強い衝撃を受けました。「らい菌」の感染によって起こるハンセン病は、発症すると手足の神経がまひしたり、体の一部が変形することもあり、恐ろしい伝染病と考えられていました。そのため、患者はもとより家族までひどい差別を受け、一九〇〇年代の初めからは人里離れた療養所に隔離されるようになりました。実際には他人にうつりにくく、薬によって治るようになった後も、国は患者の強制収容を続けました。ハンセン病と分かっただけで家族と引き離され、一生、療養所から出られない人たちがたくさんいたのです。
 患者の隔離を定めた「らい予防法」は 一九九六年に廃止され、国は入所者たちに謝罪しました。それでもハンセン病への偏見がなくならないと感じた藪本さんは、正しい認識を社会に広めたいと考え、報道記者に転向。各地の療養所を回り、患者や関係者に丁寧に取材を重ね、ハンセン病問題をテレビで取り上げました。患者に対するあからさまな差別、狭い療養所での不自由な暮らしなど、それまで表に出てこなかった多くの実態が明らかになり、ハンセン病に関する誤解を解くきっかけにもなりました。
 藪本さんは、講演をこう訴えて結びました。「今もなお、日本の社会にはハンセン病をはじめ、病気や障害のある人たちへの差別意識があります。きちんと事実を学び、自ら意識して差別の連鎖を断ち切って欲しい。」と。

 いかがでしたか。ハンセン病患者や障害者にとっての「障害」は、その人たち自身にあるのではなく、社会の側にある、と藪本さんは言います。私たちの誤った知識が、いつの間にか差別意識につながっているのでは…。自分も人も大切にできる社会をつくるために、まずは正しく理解することから始めましょう。
 では、また。