人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年11月23日(水)放送

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命を救う「やさしい日本語」
 二〇一六年四月、熊本で震度七の地震が起こった後、青森県にある弘前大学人文学部社会学研究室が作成したホームページのアクセスが急増しました。それは「やさしい日本語」のページです。

  「やさしい日本語」は、普通の日本語よりも簡単で、外国人にも分かりやすい日本語です。一九九五年の阪神・淡路大震災では、多くの外国人も被災しました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない人もいました。そこで、彼らが災害発生時に適切な行動を取れるように考え出されたのが「やさしい日本語」なのです。
 普通の日本語と「やさしい日本語」を比べてみましょう。まず、普通の日本語です。
「けさ七時二十一分ごろ、東北地方を中心に広い範囲で強い地震がありました。」
 次に「やさしい日本語」
「今日 朝 七時二十一分、 東北地方で 大きい 地震が ありました。」
 普通の日本語。
「皆さん落ち着いて行動をお願いします。ガス臭いような所がありましたらマッチを擦ったり、照明のスイッチをつけたり、消したり、ということはしないでください。」
 やさしい日本語。
「気をつけて ください。火を 使わないで ください。火事に 気をつけて ください。」
 いかがでしょうか。
  「やさしい日本語」をつくるには、基本原則があります。「『何が起きたか』『これから注意することは何か』など重要度が高い情報に絞り込む」「あいまいな表現は避ける」「一文を短くする」などです。
 弘前大学で行われた実験では、普通の日本語と比べて「やさしい日本語」の方が、外国人留学生で一・四倍、小学校低学年の日本人児童で四倍、理解しやすいという結果が出ました。

 熊本県や大分県で起きた地震の際には、弘前大学人文学部社会言語学研究室は「やさしい日本語」を使った様々な呼び掛け文を公開しました。その中には、ガスや水道、交通機関、外国人の避難場所に関するもののほか、エコノミークラス症候群を防ぐためのポスターもありました。「やさしい日本語」は、外国人だけでなく、障害のある人や子ども、高齢者にも優しい日本語かもしれません。私たちの社会には様々な人が暮らしています。その誰にとっても優しいという考え方を大切にしたいですね。
 では、また。