人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年10月21日(金)放送

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横田めぐみさんと「いのちの授業」
東京都のある公立中学校では、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんに手紙を書く「いのちの授業」が行われています。なぜなのでしょう。

聞きたい。
あなたの笑い声。
聞きたい。
あなたの怒った声。
聞きたい。
あなたの「大丈夫だよ」っていう声。
いつか絶対言うからね。
「おかえり。めぐみさん」

これはめぐみさんの母・早紀江さんの気持ちになって、生徒が書いた詩です。授業のテーマは「命」。生徒たちは資料を調べ、ビデオで学習し、討論、発表を繰り返します。めぐみさんに手紙を書いたり、めぐみさんや家族の気持ちになって詩を書いたりもします。
授業を担当するのは佐藤佐知典先生。佐藤先生が新潟市の高校生だった一九七七年、当時十三歳の横田めぐみさんが自宅の近所で突然姿を消しました。佐藤先生の父はめぐみさんの父・滋さんと職場の同僚でした。佐藤先生の妹はめぐみさんと同級生で、あの日、めぐみさんが行方不明になった現場を十五分違いで通っていたのです。
その後、めぐみさんが北朝鮮による拉致被害者である可能性が高まると、
「近くにいながら何もできなかった。」
という後悔、
「拉致されたのは、妹や自分だったかもしれない。」
という思いから、佐藤先生はめぐみさんを通して命の大切さを考える授業を始めました。生徒たちは「当たり前の生活が送れることのかけがえのなさ」を学んでいきました。
この授業は「いのちの授業 横田めぐみさんが教えてくれたこと」という本になりました。母・早紀江さんは、生徒たちの手紙を読んだ感動と共に、マザー・テレサのこんな言葉を紹介しています。
「愛の反対は憎しみではなく無関心です。」
私たちは自分では気付いていなくても、無関心という罪を持っている…そんな思いがありました。

佐藤先生から、明日への伝言板にメッセージをいただきました。
「皆さんは人の命を信じる人ですか、あきらめる人ですか。希望を捨てない人ですか、絶望感にさいなまれる人ですか。めぐみさんは今も日本に帰れる日を信じ、祈り、耐えています。ご両親も三十九年間ずっと待っています。皆さんの命を信じる心、強い信念を、どうかどうかよろしくお願いいたします。」
では、また。