人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年10月16日(月)放送

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けしごむおばけ
今日は、北九州市立文学館が平成二十八年度に募集した第七回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの中から、北九州市戸畑区の小学二年生、西村虎哲くんの『けしごむおばけ』という詩を紹介します。本人の朗読でお聴きください。

『けしごむおばけ』
北九州市立牧山小学校二年 西村虎哲

ぼくは今日うそをついてママとパパにしかられた

ぼくはママとパパをけしごむで

けした

こわかった

ぼくはどんどんこわくなってきた

えんぴつでママとパパを

書いた

そしたらママとパパがでてきた

ぼくはほっとした
これからはうそはつきません

いかがでしたか。うそをついてママとパパからしかられた虎哲くんは、思わず、「ママとパパなんていなくなればいいのに」と思ってしまったんですね。
そこで登場するのが、「けしごむおばけ」。虎哲くんが読んだ童話に出てくる「けしごむ」のおばけのことで、消えてしまえばいいと思うものを何でも消してくれます。
虎哲くんは童話の中の男の子と同じように、自分をしかったママとパパを「けしごむおばけ」に消してもらいます。もちろん、これは虎哲くんの空想の世界でのことですが、「ママとパパなんか消してしまえ」と思ったのに…、いざ消してしまうと「とんでもないことをした」とハッとしました。ママとパパがいなくなったと想像するだけで、怖くなってきたのです。すぐに、ママとパパをけしごむで消してしまったことを後悔し、もとに戻ってほしいと鉛筆で書いてみたところ…、ちゃんと二人は出てきてくれました。
本当は自分が悪いと分かっているけれど、しかられることが嫌だった虎哲くん。しかし、「けしごむおばけ」のおかげで、普段、「当たり前」と思っていることがなくなってしまうと不安になるし、実はそれがとても大切な存在なんだということに気づくことができました。それが、最後の「これからはうそはつきません」という、素直な反省の言葉につながったのではないでしょうか。
鉛筆で書いたママとパパを見て、「ぼくはほっとした」という一言に、けしごむでは消すことのできない親子の温かなきずなを感じますね。
では、また。