人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月03日(金)放送

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ホーム転落事故
ここは駅のホーム。いろいろな音であふれています。音と一緒に周囲の状況を目で確認できれば、危険を察知し、避けることができます。
では、もし、目から入る情報が何もなくて、あちこちからいろいろな音が聞こえてくる中を歩かなければならないとしたら…。駅のホームは、不安や恐怖を感じる場所だということが分かるのではないでしょうか。

最近、視覚障害者のホーム転落事故が問題になっています。平成二十九年一月にも、埼玉県のJR京浜東北線蕨駅で、盲導犬を連れた全盲の男性がホームから転落し、電車に接触して亡くなるという痛ましい事故がありました。
目の不自由な人たちにとって駅のホームは、「欄干のない橋」にたとえられます。橋には、人が落ちるのを防ぐために左右に欄干がついていますが、それがない橋を目を閉じて渡ることを想像してみてください。実際、ホームから転落したり、転落しそうになったりした経験のある視覚障害者は少なくないそうです。
また、普段、よく利用している駅のホームでも、周囲の雑音などに気を取られたり、人とぶつかったりすることで、方向性を失い、自分のいる場所が分からなくなることもあるといいます。
見えない世界がどういうものか、想像してみてください。そうすれば、点字ブロックの上に荷物を置いたり、スマートフォンなどの操作に気を取られて周りを見ていなかったりすることが、目の不自由な人たちにとってどれほど危険なことか、気付くはずです。
そして、もう一つ、私たちにできることがあります。
もう一度、駅のホームに戻ってみましょう。

白い杖を上げている人がいますよ。これは、目が不自由な人の「手を貸してください」の合図です。 

「何かお困りですか?」
「下関方面に行く電車に乗りたいんですけど…。」
「ああ、それなら反対側ですよ。一緒に行きましょう。」
「ありがとう。」
では、また。