人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月17日(金)放送

テーマ / 性自認 ジャンル検索

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LGBT~自分らしく生きる~
今日は、LGBT・性的マイノリティをテーマにお話しします。
北九州市で実際にあった出来事をもとに構成したお話です。


「どうしよう…。自分の胸が、大きくなってしまう…。」
「女性として、自然なことでしょう。体が大人の女性になってきたのよ。」
「そんなの絶対いやだ…。」

小学校の保健室で、先生に打ち明けたのは、六年生女子のA子さん。いつもは明るく元気な彼女が、思いつめた表情をしていました。さらに、楽しみにしていたはずの修学旅行に行きたくないと、泣きながら言いました。

「どうして行きたくないの? クラスのみんなで行くんだよ。」
「一緒にお風呂、入りたくない。女湯なんか…。」

聞けば、これまでずっと女子の更衣室で着替えることが苦痛だったそうです。女子トイレを使うことも、いやで仕方なかったと言います。
次の日、お母さんが、眼を真っ赤にして、学校を訪ねて来ました。

「うちの子、どうなるんですか?私たち、どうすればいいんでしょう。」

お母さんは、大きなため息をついて言いました。

「来年は中学です。おばあちゃんが、孫のセーラー服姿を楽しみにしています。何て伝えれば…。」

相談を重ね、A子さんは、医療機関を受診することになりました。そして、トランスジェンダー・性同一性障害だろうと診断されました。
学校はすぐに動きました。体育などの着替えは保健室で、トイレは男女共同の多目的トイレを使うことになりました。修学旅行は別室の部屋風呂に入りました。
家族も、A子さんの気持ちと真剣に向き合いました。そして、A子さんが中学校でも学校生活を送りやすいよう、家族と学校が何度も何度も話し合い、進学の準備に力を注ぎました。

それから四年の月日が流れました。

「先生!」

バスを待つ先生に、一人の少年が声をかけてきました。

「A子…さん?」

少年だと思ったのは、A子さんでした。制服のない高校に進学したそうです。そして、キラキラした笑顔で言いました。

「学校? すごく楽しいよ。」


いかがでしたか。高校に進学し、笑顔で話しかけてきたA子さん。すべての人が暮らしやすい、そして自分らしく生きることができる社会づくりを進めていきたいですね。
では、また。

■LGBT…性的指向及び性自認の問題に関する呼称。
 L:女性の同性愛者(Lesbian:レズビアン)
 G:男性の同性愛者(Gay:ゲイ)
 B:両性愛者(Bysexual:バイセクシュアル)
 T:こころの性とからだの性との不一致(Transgender:トランスジェンダー)
■性的マイノリティ…からだの性とこころの性が違う、恋愛の対象が同性などの、性的少数派の人々のこと。