人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月23日(木)放送

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地域で支える認知症高齢者
高齢者と言われる人は、日本の人口の四分の一以上います。そのうち七人に一人が認知症で、二〇二五年には五人に一人になると見られています。認知症の人をみんなで助け合うことが、ますます大切になっています。

ある日のこと。小倉南区の横代小学校の六人は、いつものように登校していました。
そのとき突然、前から歩いてきたおじいさんが倒れました。みんな、びっくりしました。そして急いで、おじいさんのところに駆け寄りました。
「大丈夫ですか!」
一人の男の子が声をかけました。
「う〜ん、大丈夫じゃない。」
おじいさんは、苦しそうに返事をしました。
二人の女の子は協力しながら、すぐに119番に電話をかけました。そして、救急車が早く着くように、目印になる建物を電話で伝えました。
おじいさんの鼻や口に血がついているのを見て、一人の男の子が持っていたティッシュをさっと差し出しました。
とっさのことでしたが、あっという間にそれぞれの役割が決まっていました。
「息はできますか!」
おじいさんは何も言いませんでした。でも、みんなは、おじいさんが息をしているのを確認しました。
「僕のこと、見えますか?」
もう一度、男の子が呼びかけました。
「救急車、もうすぐ来ますよ。」
おじいさんに安心してもらうため、また声をかけました。
しばらくすると、救急車の音が聞こえてきました。
「おーい!」
男の子たちは、場所がわかるように大きく手を振りました。
救急車が着きました。救急車に乗るとき、おじいさんが小さいけど絞り出すような声で言いました。
「ありがとう。」
その日、家族が目を覚ます前、おじいさんは家を出ていました。いつまでも戻ってこなくて、家族が心配して警察に届けたところでした。
横代小学校の児童たちの行動は、おじいさんを助けただけでなく、おじいさんの家族も安心させました。家族の感謝の気持ちは、すぐ児童たちに伝えられました。

高齢者にとっても、その家族にとっても、地域はもう一つの家庭とも言えるくらい大切なところです。横代小学校の児童たちのように、みんなで支え合っていけば、誰もが安心して暮らせるあたたかい地域づくりができるのではないでしょうか。
では、また。