人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年10月19日(木)放送

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受けとめるということ
今日は、福岡法務局と福岡県人権擁護委員連合会主催の平成二十八年度全国中学生人権作文コンテスト福岡県大会で福岡県弁護士会賞を受賞した、北九州市若松区の中学一年生、山内琉緒さんの作文を紹介します。題は『受けとめるということ』です。この作文は一部省略して朗読します。

ある日、私が市営バスに乗った時のことでした。優先席に座っている男の人は、何かを考えるようにつぶやきながらキョロキョロ顔を動かしたり、自分の舌を手で触り続けたりしていたのです。しばらくして、急に何かが起こったかのように自分のかばんから財布を出したかと思うと、斜め前の男性に小銭を投げつけだしたのです。
投げつけられた男性は、とても驚いた表情をしましたが、気がついていないような振りをして窓の外を見つめました。私は男性がどうするのかなと思いながらドキドキしていた時、赤信号でバスが停まりました。すると、男性は小銭を拾い「落とされましたよ。」と言って手渡したのです。男の人は「すみません。すみません。許して下さい。」と言って謝り、お金を受け取りました。
私はこの出来事について考えました。あの男の人はどんな障害なのだろうか。もし、私があの男性だったらどうしていただろう。男性は、小銭を投げつけられたことに対して怒ることもなく、注意をすることもなく、共感することもなく投げつけたことを受けとめてあげたのだと思いました。
考えの似ている人はいても、全てが一緒の人なんていないと思います。私がいつも正解ではなく、私もどこかでだれかに受けとめてもらっているのです。クラスで、部活で楽しく過ごせているのは、皆が一人ひとりを受けとめているからです。あの男性は、これまで受けとめてもらえることが沢山あったから、自分も人に優しく接することができたのだろうと思いました。
私はこのバスでの経験から、相手を理解することが『受けとめるということ』だと考えることができました。私もあの男性のように受けとめる優しさと、行動する勇気の持てる人になりたいです。

いかがでしたか。
相手を理解するということは、「受けとめる」ことだと気付いた琉緒さん。私たちも、相手を受けとめる優しさと、「行動する」勇気を持ちたいものですね。
では、また。