人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年10月24日(火)放送

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絵本「王さまと王さま」を通して
今日は、『王さまと王さま』という絵本について紹介します。『王さまと王さま』では、一人の王子様がよその国の王子様に恋をします。二人は祝福されて結婚し、二人の王様になるというお話です。
この本を翻訳した眞野豊さんは自らもゲイであり、大学で性の多様性を研究しています。皆さんはLGBTという言葉を耳にしたことはありますか。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉です。これらの人々は性的マイノリティとも呼ばれます。眞野さんは幼い頃、男が男を愛するゲイは普通じゃないと大人から教わり、自分自身が小学五年生の時、男の子に恋をして、辛い思いをしたと言います。
「僕の人生は終わったと思いました。その後も、ゲイであることをずっと隠していて、男性の恋人ができても、友達同士を演じていました。だから、大学で性の多様性の研究を始めたとき、まず、子どもたちにそういう人たちもいることを知ってほしいと考えました。その材料として、この絵本の翻訳を思い立ったんです。
絵本の中には『どうしよう』といった葛藤もないし、差別も全然出てこない。この絵本で、男の子同士でも恋をすることがあるんだということを、子どもたちに伝えたいんです。そうすれば、子どもは大きくなって、ゲイの人に出会っても、偏見を持たないでしょう。また、性的マイノリティであることを隠している子どもに対しては、自分を肯定することに役立つと考えています。」
眞野さんのところへは、学校の先生から「『王さまと王さま』を授業で使いました。」「子どもたちはよく読んでいます。」といった声が寄せられています。
『王さまと王さま』はイギリスの小学校などでも、同性愛を学ぶ教材の一つとして使われています。
眞野さんは
「僕は多くの子どもたちに、こうしたLGBTをテーマにした絵本を読んでもらいたい。そして大きくなって、『絵本にもあった』と思い出し、同性愛者とも普通に接してほしいんです。」
と言います。
性的マイノリティの人々がいる、それは普通のことです。私たち一人ひとりが、差別や偏見のない社会をつくっていきたいですね。
では、また。

■性的マイノリティ…からだの性とこころの性が違う、恋愛の対象が同性などの、性的少数派の人々のこと。