人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年10月25日(水)放送

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白い道
今日は、北九州市立文学館が平成二十八年度に募集した第七回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの中から、北九州市小倉北区の小学四年生、金子陽菜さんの『白い道』という詩を紹介します。本人の朗読でお聴きください。

 『白い道』
 北九州市立中井小学校四年 金子陽菜

テレビをつけたら ふたりの男の人が
真っ白い道をならんで歩いていた
話しもしないで まっすぐに前を向いて
ひとりは日本人
ひとりはアメリカ人
ずっとだまって歩いている
シーンとして せみの声も聞こえない

白い道のとちゅうでふたりが立ち止まった
そこには 広島の原爆いれいひがあった

長崎の原爆資料館には行ったことがある
楽しかった夏休みの終わりごろ
でもそこだけは 暗くて こわくて
ちょっとなみだが出た
資料館の時計は どれも黒こげで
みんなしずかに十一時二分で止まっていた
資料館を出たとき
もう二度とここには来たくない と言ったら
お父さんが
それでいいんだよ その気持ちは
もう二度とこんな戦争はしたくない
って気持ちに きっとつながるからね
と言った

そう言えば
白い道を歩いてきたテレビの中のふたりは
いれいひにお花をあげたあと
少し頭を下げて目をつむっていた

何を考えていたのかな
わたしとおんなじように
もう二度とここには来たくない
って思ってくれていたら いいな

そしたら その気持ちは
もう二度とこんな戦争はしたくない
って気持ちに きっとつながるから

いかがでしたか。
まっ白い道を並んで歩いていた二人とは、日本の首相とアメリカの大統領。かつて戦争をしていた両国の代表がそろって、広島の平和記念公園を訪れ、慰霊碑に花輪を捧げた時のことを、陽菜さんは詩にしたんですね。
長崎の原爆資料館に行った時、今も世界に核兵器がたくさんあることを知って、本当に怖かったと話してくれた陽菜さん。だからこそ、原爆資料館で自分が感じたり考えたりしたことを思い出しながら、テレビの中の二人も自分と同じように思ってくれていたらいいな、と強く感じたのでしょう。
二人が歩いていた白い道のその先には、平和の灯、そして原爆ドームがあります。戦争のない平和な世の中に向けて、原爆や戦争の記憶を風化させずに心にとどめておくことが大切ですね。
では、また。