人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年11月02日(金)放送

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知らないほうがいい?
今日ご紹介するお話は、ある家庭の夕食後の団らんから始まります。

「ねぇ、『どうわ』ってなに?」
小学二年生の息子が、学校で耳にした言葉について、父親に尋ねました。父親は一瞬、戸惑いましたが、口から出てきたのは、「そんなこと、知らなくていい。」という返事でした。
父親は小学生のころ、部落差別のことを祖母から聞いたことがありました。そんな自分の体験から、なんとなく息子に教えないほうがいいのではと思ったのです。
『あえて知らせる必要はない。』
息子が寝たあとで、その話を聞かされた母親の反応は、父親にとって意外なものでした。
「えっ、どうして?」
「どうしてって、知らないままでいたら、差別することもないじゃないか。そっとしておけば、同和問題もいつか自然になくなっていくよ。」
「私は、正しい知識をちゃんと教えたほうがいいと思う。」
母親は、どうにも納得がいかない様子です。というのも、母親は市民センターでの人権講座で同和問題について詳しく学んだ経験があったからです。
「今は情報化社会で、いろんな情報が氾濫してるでしょ。どこかで悪質な書き込みなどを目にしてしまうかもしれない。正しい知識を身につけていなかったら、誤った情報をうのみにして、子どもが差別をする側の人間になってしまうかもしれないのよ。それでもいいの?」
父親は、すぐには返事ができませんでした。

いかがでしたか。
平成二十八年十二月、「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。この法律には「現在もなお部落差別が存在する」と明記されています。差別意識は、自然に無くなっていくものではありません。同和問題を解決するには、一人一人が正しい知識を身につけることが大事なのです。

最後にもう一度、先ほどの家庭をのぞいてみましょう。
夫婦で話したあとに、父親は「息子にとって、本当に何が大切なんだろう」と考え始めました。そして、自分も同和問題のことをきちんと勉強し、正しく息子に伝えようと決心したようですよ。
では、また。