人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年11月08日(木)放送

テーマ / 難病に起因する人権問題 ジャンル検索

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あきらめたらだめだ~難病に負けず~
先天性ミオパチーという病気を知っていますか。筋力が低下する生まれながらの疾患で、明確な治療法は見つかっていません。
伊藤亮さんは、同年代の子どもと比べて発育が遅く、幼いころから思うように運動が出来ませんでした。六歳のとき、先天性ミオパチーと診断されました。
また、頭痛や息苦しさにしばしば襲われていました。それでも地元の医師からは、病気とは関係ないから気にしないようにと言われていました。
高校二年のとき、頭痛や息苦しさに耐えきれなくなります。検査の結果、先天性ミオパチーによって肺の周りの筋力が低下し、頭痛や息苦しさが起きていたことが分かりました。

「病気は分かっていたので、手とか足の力が弱くなってくるというのはイメージしていたんですけど、それが呼吸に影響してくるとはまったく思っていなかったんです。」

もっと早くから適切なケアを受けていれば、ここまで肺の機能が低下することはなかっただろうと言われたそうです。
現在、伊藤さんは、通常の十パーセント程度しか呼吸ができていません。
二〇一二年、病気のことを社会に発信しようと、伊藤さんを中心に先天性ミオパチーの会が発足します。合言葉は「あきらめたらだめだ」。その強い思いを支えに、先天性ミオパチーが国の指定難病となるよう、署名活動を続けました。指定されれば、患者の医療費負担が軽減され、治療法開発の研究が加速します。そして二〇一五年、思いが届きました。

「署名活動を始めて、そんな早く指定されると思ってなくて、すごくうれしかったですね。」

伊藤さんは、手足などの筋力がさらに低下しています。打ち合わせをしていても、すぐに息苦しくなり、呼吸補助器が手放せません。それでも精力的に活動を続けます。もっと多くの人に病気のことを知ってもらおうと情報発信などに取り組んでいます。

「同じ病気の方たちが、僕のような状況にならないように、こういった活動を通して、この病気を知ってもらうことが大事と思っています。」

伊藤さんは、取材の最後にこう話してくれました。近いうちに病気の治療法が見つかることを信じていると。「あきらめたらだめだ」と。
では、また。