人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年10月16日(火)放送

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エスカレーターの片側通行
今日は、北九州市小倉北区の中学三年生、重岡萌花さんの作文を紹介します。題は『エスカレーターの片側通行』です。この作文は一部省略して朗読します。

東京の雑踏の中、唖然とする光景を目の前にします。それは、エスカレーターの片側空けでした。乗り込む人が左側に寄り右側を空けるので、乗り込む前から、ひしめき合う長い行列ができていました。一緒にいた叔母は数年前の脳梗塞で左半身に軽いマヒが残りました。エスカレーターの手すりは右手で掴まりたいはずです。私はエレベーターを探そうと意識が動いていました。しかし、叔母は、まごつく私を横目に至極当然に右側に乗り込み、右手で手すりに掴まると、私を左側へ誘導したのです。僅かの間をおいて、右側をドンドンと足音を立てて男性が近づいてきました。
「左に寄るのがマナーですよ。避けて下さい。」と、怪訝そうで高圧的な言葉が背中に刺さりました。すると、叔母は、
「ごめんなさいね。私は左手に障害があって力が入らないんです。危険なので動けないんですよ。」
と柔らかく、和やかな口調で返したのです。その直後、危険防止のアナウンスが流れました。エスカレーターは立ち止まって利用しましょうという内容です。すると、その男性は小さく頭を下げ、叔母の後ろに最後まで立ち、降りていきました。
街には、点字ブロック、スロープ、優先席など設備や工夫が沢山あります。しかし、一部の無自覚な行為や勝手な思い込みで苦労している障害者の方も少なくはないのです。私も集団心理に流される一人だった事に気づき恥ずかしく思いました。そんな私に叔母は笑顔でVサインをしました。叔母の優しい笑顔に涙が溢れそうになりました。「人間が人間らしく生きるための自由と権利」改めて人権の意味と向き合い、正しい選択の出来る人間になりたいと思える出来事になりました。

いかがでしたか。
萌花さんが自分の反省を踏まえ気付いたことは「自分も集団心理に流される一人だったこと」そして、「正しい選択の出来る人間になりたい」ということ。私たちも心掛けたい大切なことですね。
では、また。