人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年10月17日(水)放送

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ネットでのひぼう中傷と戦って
東名高速道路で、あおり運転をされた夫婦が亡くなるという事故がありました。犯人は逮捕されましたが、その直後から、北九州市内で建設関係の会社を経営する石橋秀文さんに対する、インターネット上でのひぼう中傷が始まりました。名字が同じだから「犯人の父親だ」、住所が近いから「その会社が犯人の勤め先だ」と全くのデマが、ネット上に次々に書き込まれ、拡散しました。
当初、会社にかかる中傷の電話を「根拠のないデマだから」と無視していた石橋さんも、一日百件もの電話が鳴り、会社周辺に不審な車両が停まり、ネット上に自宅の住所まで掲載されたことから、家族と社員の安全を考えて、一時、事務所を閉めざるを得なかったと言います。
「同じ名字ですが、全く関係ないんです。犯人は私の息子でも、従業員でもないんです。電話に出て、私がそう説明しても、聞く耳を持たない人が多かった」と石橋さん。
新聞やテレビの取材でも、ネット上の情報はデマであると繰り返し訴えました。警察へも相談した結果、特に悪質な書き込みをした十一人が家宅捜索を受け、その後、十一人が名誉棄損の容疑で書類送検されました。
それから半年が経ち、中傷の電話はほとんどなくなりました。幸い、会社の営業への影響も少なくて済みましたが、石橋さんは
「ネットには中傷の記事が残っており、安心はできない」と言います。
石橋さんの元へは、かつて殺人事件の犯人だとするネット上のひぼう中傷に苦しめられたタレントのスマイリーキクチさんをはじめ、多くのネット被害に苦しむ人からの励ましの手紙や電話があったそうです。
守られるべき個人情報や、全くのデマも、インターネットへ書き込むと、瞬時に世界中に伝わります。また、デマを書き込んだことによって、罪の意識がなくても、名誉棄損や損害賠償請求などの訴訟になることもあります。石橋さんは「ネットでの発信には、大きな責任が伴うと自覚して欲しい。スマホでポンと送信した結果、加害者になることもあると気付いて」と注意を呼び掛けています。
自分の書き込みに責任を持ち、個人の名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害したりしないなどのルールやマナーを守ることが大切ですね。
では、また。