人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年10月24日(水)放送

テーマ / 犯罪被害者とその家族 ジャンル検索

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犯罪被害者の気持ちに寄り添う
北九州市には、福岡県と共同で設置している犯罪被害者総合サポートセンターがあります。福岡犯罪被害者支援センターが運営を委託され、犯罪被害にあった人に対して、面接、カウンセリングや、警察、病院、裁判所などへの付き添いまでを総合的に支援しています。

「悪いのは自分かも…」
犯罪に巻き込まれて大きなショックを受けた人は、物事に手がつかなくなる、人に会いたくない、眠れない、また同じようなことが起きるのではないかと考えてしまう、自分を責めてしまうなど、様々な心や体の不調に悩まされることがあります。
福岡犯罪被害者支援センターの浦尚子さんによると、「これはごく当たり前の反応」だといいます。
「犯罪被害者にとって、人から悪意を持って狙われたという衝撃は計り知れません。人を信じるという、その根底から覆されてしまうのです。」と、浦さん。
近年、特に相談が増えているのは性被害です。被害にあった人は、人混みで不安を感じ、公共交通機関の利用も難しくなって、外出できなくなることがあります。その結果、社会人の場合は、仕事を失ってしまうことにもなりかねません。さらに怖いのは、人間関係まで崩れてしまうことです。
「そんな時間に一人で歩いているからだ。」
「早く忘れたほうがいいよ。」
「頑張って。」
「元気になって。」
勇気を出して親や友人などに相談しても、こんな言葉が返ってくると、被害者は心を閉ざしてしまいます。つい口にした一言や、励ますつもりの一言が、被害者をさらに苦しめることになりかねないのです。

最後に浦さんはこんなことを言っています。
「特に性被害の場合は回復に時間がかかります。それでも被害者の皆さんは頑張るんです。頑張って、元気そうに振る舞いますが、よくよく話を聞くと、実際はまだまだということが、五年、十年たった方でもよくあります。犯罪被害に巻き込まれた方は、ゆっくり時間をかけて、もう一度、人との絆を結び直しながら前に進んでいます。そういうことを知っているだけでも、声のかけ方や寄り添い方が違ってくるのではないでしょうか。」
では、また。