人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

メニュー

ここからコンテンツです

  • 2019年11月01日(金)放送

テーマ / 家族 ジャンル検索

YouTubeで音声を再生します。

PDFダウンロード
おじいちゃんのしょうろう船
今日は、北九州市小倉北区の小学四年生、島田大雅さんの作文を紹介します。題は『おじいちゃんのしょうろう船』です。

ぼくには、ひいおじいちゃんがいました。いつもニコニコわらっているおじいちゃんでした。
去年の終わりにぐあいが悪くなってしんでしまいました。とてもとてもかなしかったです。
朝おきても、学校から帰ってきても、いつもの場所に、ひいおじいちゃんはいません。とてもとてもさみしくてたまりませんでした。
おぼんが近づいたそんな時、おじいちゃんとお父さんが町で板とくぎを買ってきました。ぼくの住んでいる藍島は、はつぼんの時に、しょうろう船を作ります。ぼくが乗ってもがんじょうなくらい大きいお船です。みるみるうちに、お船ができあがっていきます。とてもふしぎでした。お船ができあがると、今度はかざりつけです。ちょうちんをいっぱいつけてほをとりつけます。ぼくもお手伝いをしました。ほには「西方丸」と書きます。天国は西の方にあるということで「西方丸」という船の名前になったと聞きました。
お盆になると町からしんせきがたくさん帰ってきます。島の人もひいおじいちゃんに会いにきてくれます。なんだか、ひい
おじいちゃんがにっこり笑ってお船に乗っている気がしました。そして、十五日の夜いよいよしょうろう船を流します。ひいおじいちゃんが船に乗って天国に帰っていきます。少しさみしくなってきました。大人たちが船をかついでお父さんの船に乗せて、少し沖までいきました。船を海にうかべると少しずつ西の方に進んでいきました。
「おじいちゃんバイバイ」
と、大きな声で言いました。みんな手をふって見送りました。ぼくはひいおじいちゃんが船から手をふっている様な気がして少しさみしくなってきました。
「また、らい年帰ってきてね。まってるよ。」

いかがでしたか。響灘に浮かぶ藍島では、初盆のときに精霊船を海に流し、亡くなった人の魂を弔う風習が、古くから続いています。家族や親戚、そして島のみんなでひいおじいさんの精霊船を見送った大雅さん。心に残るお別れができましたね。
では、また。