人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月06日(水)放送

テーマ / 同和問題 ジャンル検索

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BURAKU HERITAGE
皆さんは、同和問題は昔のこと、自分には関係ないことと思っていませんか? しかし、今も差別は存在し、ネット上には悪意や偏見に満ちた情報が拡散されています。
少しでも同和問題を身近な問題として考えてもらえたら…。そんな思いから生まれたのが、被差別部落にかかわる人や文化、仕事などさまざまな情報発信を目的に活動するグループ「BURAKU HERITAGE」です。ヘリテージとは遺産や伝統という意味。主なメンバーは、地域も職業も立場もさまざまな8人です。被差別部落出身者もいれば、そうでない人もいます。

そのメンバーの一人、東京都の上川多実さんは、被差別部落出身の両親から部落差別の話を聞いて育ちました。ですが、友人たちは「部落」と聞いても意味が分からず首をかしげるばかり。親戚が受けた結婚差別の話をしても、「被害妄想じゃない?」と相手にされません。自分にとって大きな問題だと考えていたことが、あたかもないことになっている。周りの人たちが、被差別部落について知らないことで、上川さんは自分の存在を否定されているような気持ちがしたと言います。
子どもが生まれたとき、上川さんは「この子にはこんな思いをさせたくない」と考え、悩みました。ネットにあふれる誤った情報に対して、正しい情報を発信しなければ。でも、部落差別を知らない人、過去のことと思っている人たちに、どう伝えていけばよいのか。そうして思いついたのが、「われわれ」ではなく「わたし」を主語にした発信です。「今ここに暮らしているこんな『わたし』のこと」として、一人一人の声を提示することで、差別のリアリティーを伝えることができるのではないか。同世代の仲間に、そう呼び掛けてBURAKU HERITAGEの活動が始まりました。

上川さんは、声を上げたことで嫌がらせを受けることもあります。ですが、同時に多くの人と出会い、人生が豊かになったと言います。BURAKU HERITAGEのインターネットサイトは、一人一人の悩みや迷い、悲しみ、そして喜びがあふれています。
では、また。