人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月08日(金)放送

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虐待防止のお守り絵本
年間六十五人。これは何の人数だと思いますか。厚生労働省の調査で分かった、二〇一七年度に日本で虐待により死亡した子どもの数です。全国の児童相談所で対応した児童虐待は、二〇一八年度で十六万件近くに上り、年々増加の一途をたどっています。
そんな状況に心を痛め、「虐待によって失われる小さな命を守りたい」と絵本を出版した福岡県の女性がいます。イラストレーターで、四歳から十六歳まで五人の男の子の母でもある内田八重さんです。

きっかけは九年前、子どもを同じ保育園に通わせていた母親が、わが子二人を虐待で殺してしまうという事件に出合ったことでした。大きなショックを受けた内田さんは自分に何かできないかと考え、二〇一六年、インスタグラムに育児絵日記を投稿し始めました。子育て中の人たちの共感を呼び、フォロワー数は一万を超えています。
二〇一八年、もっとストレートに虐待防止を呼び掛けるために絵本「その手は抱き寄せるためにある」を出版しました。絵本づくりにあたって、内田さんはいろいろな人に話を聞き、虐待する親は自身が虐待を受けた被害者であったり、孤立した子育てに行き詰まって突発的に手を出してしまったりと、それ
ぞれが心の奥に悩みを抱えていることを知りました。そこで、
母親を救うことで虐待を防ごうと、絵本には母親へのメッセージをつづり、優しいトーンのイラストを描きました。ページをめくるたびに目に入るメッセージは、まるで母親や親しい友人が掛けてくれる言葉のように、身近で愛情がこもっています。

一部をご紹介しましょう。

がんばりやのあなたへ
最近疲れているようで心配しています
子供を育てることはとても大変だから
思い通りにいかない事も多いでしょう

余裕のない日々は
あなたの優しい心を奪ってしまうから
大切に育ててきた この子を傷つけて
あなたも傷ついてしまわないように
少し離れて深呼吸 大丈夫

内田さんのもとには「気持ちが楽になった」という感謝の声と共に、育児に悩む人たちから相談も寄せられています。内田さんは、こう言っています。
「ひとりで育児を抱え込まないで。まわりの人を頼っていいんですよ」
では、また。