人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月13日(水)放送

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高齢ドライバーの免許返納
高齢ドライバーによる交通事故が頻繁に伝えられています。
とある田舎町の一軒家に住む七十代の夫婦の元に、都心で暮らす娘が久しぶりに里帰りしています。一緒にテレビを見ていると、また、高齢ドライバーの交通事故のニュースが流れてきました。娘は父親に話したかったことがあったようですよ。

「ねぇ、お父さんもそろそろ免許を返納した方がいいんやない と。」
「それは無理よ。買い物も、母さんの病院行きも、わしが乗 せて行ってやりよるんぞ。電車は廃線になったし、バスも一 日五本しかないけ、ここらへんは車がなかったら生きていけ んっちゃ。」
「じゃあタクシー使えば…。」
「高齢者は節約せんとやっていけんのよ。それに六十年間、無 事故無違反、何の持病もないわしが、事故やら起こすわけ ない。」
「確かにお父さんは安全運転やけど、そういう人でも年を取っ たらアクセルとブレーキ踏み間違えたりするって…。私、心 配なんよ。万が一、事故を起こして、他の人を巻き込んだ らどうするん!」
「そんなこと言うなら、お前が家に帰って来い!」
「はぁ? むちゃ言わんどってよ。私にも家族や仕事があるん よ!」
「じゃあ、偉そうに言うなッ!」

あちこちのご家庭で、このような会話が交わされているのではないでしょうか。
内閣府による「令和元年版高齢社会白書」の調査では、八十歳以上のおよそ二十六%が外出時には自分で車を運転し、およそ十七%は今後も運転を続けると回答しています。その理由で一番多いのが「日常生活に不可欠だから」というもの。公共交通機関が乏しい地方ほど、高齢者が運転する率は高くなっています。
免許の返納は、高齢者本人だけの問題ではなく、社会全体で考えていかなければならない問題。車がなくても高齢者が不安や不便を感じることなく暮らしていけるよう対策が必要です。その一つの例として、北九州市では、六十五歳以上の方のうち、免許証を自主返納した人に交付される「運転経歴証明書」を提示すればタクシー料金が割引になるという特典を設けています。
社会全体で高齢者の暮らしと気持ちに寄り添いながら一緒に考えていきたいですね。
では、また。