人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年10月30日(水)放送

テーマ / 難病に起因する人権問題 ジャンル検索

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難病とともに生きる
北九州市に住む竹内伸一さんは、五十二歳で難病と診断され、それまでの生活が一変しました。

竹内さんは「後縦靭帯骨化症」という病気を抱えています。仕事中に首を痛めたことがきっかけで右腕や指がしびれるようになり、病院で調べた結果、この病気にかかっていたことが分かったのです。
後縦靭帯骨化症は、首から背骨の中を縦に走る「後縦靭帯」が骨に変わる珍しい病気です。その骨が神経を圧迫し、感覚障害や神経障害が起こる、国の指定難病の一つです。
竹内さんが診断を受けたのは、二〇一八年四月のことでした。自分でも病気について調べ、四十代から五十代で発症する人が多いこと、原因は不明で、治療方法が確立されていないことなどを知りました。右腕のしびれやだるさがひどくなってきたため、退職。「この先、手足が動かなくなったらどうしよう。もう働くこともできないのだろうか」そんな不安でいっぱいでしたが、右手の代わりに左手で字を書いたり、お箸を持ったりする練習をしているうちに、「体が動く今のうちに、やりたいことをやろう」と、前向きな気持ちが湧き上がってきたそうです。
今、竹内さんは、障害のある人の就労支援を行う事業所で、パソコン作業や部品の組み立ての訓練をしています。前向きで明るい竹内さんは、病気を抱える仲間や職員からも頼られる存在です。
さらに、北九州市難病相談支援センターから「ピアサポーター」の活動を勧められ、挑戦することにしました。ピアサポーターとは、難病の当事者として、同じ病気を抱える人の悩みを聞いたり、相談にのったりして支える人のことです。竹内さんは「同じ病気だからこそ、つらいこと、不安なことが分かります。自分の経験を話すことで、苦しむ人の力になりたい」と、ピアサポーターの活動にも積極的に取り組んでいます。

いかがでしたか。竹内さんは、「難病になって、たくさんの新しい出会いがありました。周りの人に優しい思いから積極的に手を差し伸べることができるようにもなりました。これからは病気と向き合いながら、人と関わる仕事をしていきたい。それが、次の目標です」と笑顔で話しています。
では、また。