人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月13日(金)放送

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ぼくのねがい
今日は、福岡法務局と福岡県人権擁護委員連合会主催の令和元年度全国中学生人権作文コンテスト福岡県大会で最優秀賞を受賞した、北九州市若松区の中学一年生の作文『ぼくのねがい』を紹介します。この作文は一部省略して朗読します。

ぼくの脳には、たくさんの傷がある。
脳に傷があることが分かったのは、ぼくが二才のときらしい。それから七年くらいたった小学四年生の夏休み、公園で友達と遊んでいると突然たおれた。病院で検査をすると、脳波の異常や視野の狭さなども分かってきた。発作が起こる原因も光の刺激だろうと分かってきた。
薬を出してもらったり、光がやわらぐ眼鏡をつくってもらったりもした。そして、ぼく自身も、どんどん秘技をあみ出していった。大好きな剣道でも、ラインも見えず場外反則で負けてしまった経験から、ぼくは、足の裏で場外のラインを感知するという秘技を身に付けた。
中学生になって発作が前よりきつい。ライトだけでなく、白い紙の光のきつさもパワーアップしている。そこで、新たな秘技をあみ出した。文字を読んだり書いたりするときに、周りにある黒っぽいものを見付けて、それを見ながら見え方を落ち着かせる秘技だ。これは、簡単にできる。やっぱり、ぼくは秘技見付けが得意だ。母も「なるほどね。でかした!」と、ほめてくれた。
もちろん、周りの人たちにもたくさん助けてもらっている。多くの人たちのおかげで、剣道もできて、学校も楽しい。
これからどんな症状が出てくるか分からない。もしかしたら、一年後、新たな技を身に付けているかも知れない。ぼくが秘技見付けが得意なように、みんなも得意なことがあって、誰にでも苦手なことや困っていることもある。だから、ぼくもみんなと同じで、一人だけちがうように思われたとしたらちょっと寂しい。

いかがでしたか。作者は、作文をこう締めくくっています。
「ぼくのねがいは、世界中のどこでも、互いにちがいがあることが当たり前になることだ。ぼく自身、自分とちがうみんなといられることが、とても楽しくてありがたいことだから。」
では、また。