人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月26日(木)放送

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ハンセン病患者の家族に関する差別
今日は、ハンセン病患者の家族に対する差別についてのお話です。
ハンセン病とは、らい菌という細菌による感染症で、発症すると、手足などの末梢神経が麻痺し、皮膚にさまざまな病的な変化が起こることもあります。しかし、感染力は弱く、感染したとしても発病することは極めてまれです。万一発病しても現在では治療法も確立し、早期発見と適切な治療により後遺症も残りません。
ハンセン病の患者は、長い間、国がとってきた隔離政策によって、地域から排除され、強制的に療養所での生活を余儀なくされました。
「家族の中にハンセン病患者がいれば、家族全員がハンセン病かもしれない。」
社会全体がハンセン病という病気を正確に知らないがために、不安が広がり、ハンセン病患者を、さらには患者の家族を差別してきたという歴史があります。家族は、学校の入学拒否や結婚差別、就職の拒否など、様々な差別を受けてきました。
令和元年六月二十八日、熊本地方裁判所において、ハンセン病患者家族による国家賠償請求を一部認める判決が出されました。国の隔離政策によって、患者の家族までもが差別を受け、人権を侵害されたことを司法が認める内容です。
この判決を受け、令和元年七月十二日、内閣総理大臣は談話を公表し「これまでの幾多の苦痛と苦難を経験された家族の方々の御苦労をこれ以上長引かせるわけにはいかない」という強い思いから控訴を行わないことを表明しました。さらにその談話では、患者だけでなく、その家族に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことを認め、関係省庁が連携・協力し、患者やその家族が置かれていた境遇を踏まえて人権啓発、人権教育などの普及啓発活動を 強化していくことなどが語られています。
ハンセン病患者とその家族への偏見と差別は、病気自体をよく知らないことが原因となって、社会全体に広がっていきました。そして、今もなお、世間の目を恐れて暮らす方々が、多くいます。
このような偏見や差別をなくすために、まずはハンセン病に対する正しい知識を身につけ、この問題を正しく理解することから始めましょう。
では、また。