人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月3日(火)放送

テーマ / 新型コロナウイルスに関する偏見・差別 ジャンル検索

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STOP!コロナ差別
新型コロナウイルスの感染拡大によって、日々慌ただしく動いている医療や介護の現場。しかし、そこで働く人達が今、コロナウイルスだけでなく「偏見」や「差別」とも闘っていることをご存知でしょうか。今から紹介する会話は、実際に北九州市内の介護職員が体験した事を元に構成しています。

「施設長⋯私、もうどうしていいか分からないです⋯。」
「どうしたんですか。」
「さっき、訪問宅の玄関で消毒液を吹きかけられたんです。まるで私自身がばい菌みたい⋯。デイサービスの送迎に行っても『個別送迎してくれないなら利用しない』って拒否されたり、『ちゃんと消毒はしているのか』とか『施設は感染しやすいんでしょ』とか嫌味言われたりして⋯。うちの施設は感染症対策をちゃんとやっているのに。」
「それは辛い思いをしましたね。皆さんそれだけ感染することが怖いんですよ。そして、その不安を素直にぶつけられる存在がうちなのかもしれません。」
「それは⋯そうかもしれないですね。あの、さっきから何をしているんですか。」
「うちがやっている感染症対策を説明したお手紙を出すんです。メールを利用している方には昨日お送りしたんですが、そうじゃないご家庭へはお手紙でお知らせするんです。」
「そんなことしても、どうせ分かってもらえませんよ。」

(電話の音)
「はい、デイサービスで⋯ああこんにちは。はい⋯はい。ああ、大丈夫ですよ。⋯はい。わかりました。」
「またクレームですか。」
「明日から来られるそうですよ。『メールで初めて、こんなに対策しているって知りました。失礼なことを言ってすみませんでした』って言っていましたよ。コロナウイルスがどのように感染するのか、また、施設がどのような対策を行っているかを知って頂ければ、利用者さんや、そのご家族の不安も少しは拭えるはずですから、私たちも丁寧に説明していきましょう。」
「はい!」

感染症という見えない病気への不安は、時に偏見や差別を生みます。しかし、私たちが闘う相手は、人ではなくウイルスだということを忘れてはいけません。まずは感染症のことを正しく知り、差別的な行動をしないことが大切です。そして、ウイルスと闘っている、社会を支える人たちへの感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
では、また。