人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2021年11月1日(月)放送
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  • 誰もが住みよい社会を目指して

鶴田弥生

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誰もが住みよい社会を目指して

今日は、福岡法務局と福岡県人権擁護委員連合会主催の第三十八回全国中学生人権作文コンテスト福岡県大会でNHK福岡放送局賞を受賞した、小郡市の中学一年生、春山夏菜絵さんの作文『誰もが住みよい社会を目指して』を紹介します。この作文は一部省略して朗読します。

みなさんは、2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件を覚えているだろうか。施設の元職員が、その施設の入所者や職員を無差別に殺傷した事件のことだ。
もしも、殺されたのが自分の家族や知り合いだったら――と考えたとき、ある女の子の姿が目に浮かんできた。私が小学校六年の時、下校のためバスに乗っていたら、その女の子が乗ってきた。その子は降りる間際になって、突然モゴモゴと話し始めた。運賃表の見方が分からず、パニックになったのである。その様子を見て私の友達が笑った。つられて私も笑ってしまった。状況を察した運転士がさりげなくその子に運賃と支払い方法を伝えると、安心した表情で降りて行った。帽子の文字を見て、その子が特別支援学校に通っていることが分かった。
その時、私は、その子に障がいがあるとは知らず、笑ってしまったことをひどく後悔した。障がいの有る無しにかかわらず、困っていたその子に声をかけることができなかったことが苦しかった。
数日後その女の子は再びバスに乗ってきた。今度は思い切って話しかけてみた。「運賃、分かる。」「うん。」短いやり取りだったが、随分気持ちが楽になった。

「この間は笑ってごめんね。手助けできなくてごめんね。」本当に伝えたかったことは口に出せなかったが、バスを降りるその子に手を振りながら、一生懸命気持ちを込めた。

「社会的障壁」とは、障がいがある人にとって、日常生活や社会生活を送る上で、障壁となるもので、その一つが意識上の障壁、「心の壁」である。心無い言葉や視線、障がい者をかわいそうな存在だととらえることも、それに該当することを知り、自分の至らなさを思い知らされた。
誰もが住みよい社会を目指すために、やらなければならないのは、人と人との間で壁を作らないこと。偏見と先入観を捨てなければ、この壁が崩れることはない。
今の私にできることを、これから実践していこうと強く心に決めた。

いかがでしたか。
私たちにも何が実践できるのか、考えたいですね。
では、また。