人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2021年11月18日(木)放送
  • テーマ / 感染症 ジャンル検索
  • マスクをつけられません

宮本隆治

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マスクをつけられません

新型コロナウイルスの感染防止のために、マスクの着用が求められる場面が増えています。しかし、さまざまな理由でマスクがつけられない方がいることをご存じでしょうか。
今日はまず、電車の中での会話をお聴きください。

「ねぇ、あそこに立っている女の人、マスクつけてないわよ。」
「ほんとだ。つけ忘れて外出したのかな?」
「だったら買えばいいのに。怖くて、そばには行けないよね。」
「マスクなしで電車って…。いい大人が、常識ないよな。」
「あれ? あの人、バッグに何かカードがついてるね。」
「ん? えっと…、『マスクがつけられません』って書いてあるよ。」
「そっか、あの人、病気か何か理由があってマスクがつけられないんだね…。」
「なんか、ジロジロ見て申し訳なかったよね。」

いかがでしたか。
電車の女性がバッグにつけていたのは、自分はマスクがつけられないことを周囲の人に知ってもらうための意思表示カードです。
マスクがつけられない理由は、皮膚の病気や障害に伴う感覚過敏などさまざまです。マスクをつけたくても、つけられないのです。
ただ、そうしたつらさは、見た目では分からないことがほとんどです。そのため、マスクをしていないことで、何か言われたり思われたりしないかと、周囲の目を気にして、外出をためらう人も少なくありません。
そこで、マスクがつけられないことを周囲の人に知らせ、理解を深めてもらおうと登場したのが、意思表示のカードやバッジなどです。
電車の中の二人にとって、女性の意思表示カードは、「世の中には、見た目ではわからない、いろいろなつらさを抱えた人がいる」、そして「自分が当たり前と思い込んでいることが、決して当たり前とは限らない」ということに気づくきっかけになったようです。

あなたのそばにも、マスクがつけられない人がいて、つらい思いをしているかもしれません。
新型コロナウイルスの感染拡大により、みんなが不安に包まれています。こんな時だからこそ、自分の言葉や行動が差別や偏見につながっていないか、「自分のこと」として考えてみることが大切です。
お互い、思いやりを忘れないようにしたいですね。
では、また。