人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2021年11月25日(木)放送
  • テーマ / 性的指向・性自認 ジャンル検索
  • ありのままの自分を生きる

鶴田弥生

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ありのままの自分を生きる

近年、性の多様性を尊重する考えは、さらに高まっています。北九州市でも、市立中学校の標準服を、性別に関係なく機能面を考えて選択できるように見直すなど、さまざまな動きが起こっています。一方で、性的マイノリティの方への理解はまだ十分ではなく、差別や偏見の目があることも事実です。

今日は、「リコーダーのお姉さん」の愛称で親しまれる北九州市の演奏家、笛田ちひろさんのお話です。笛田さんは、男性として生まれましたが、性別に対する複雑な思いは子どもの頃からありました。
リコーダー演奏を始めた二十代の頃は、男性として活動していましたが、ある日、突然、男性用トイレの前で体が動かなくなり、倒れてしまいました。笛田さんは、こう話します。
「心と体がバラバラになりそうで、もう自分を偽るのは限界でしたね。悩みながらも、思い切って母親にカミングアウトすると、『自分らしく生きたらいいよ』と、驚くほど明るく受け止めてくれたんです。この言葉に励まされ、女性として生きていこうと決めました。」

しかし、笛田さんのことを、理解してくれる人ばかりではありません。「気持ち悪い。」と言われて傷ついたり、「男とも女とも分からないような人間は、子どもを混乱させ、悪影響を与えかねない。」と、演奏会を断られたりしたこともありました。

昨年、笛田さんは、久しぶりに北九州市内の小学校で演奏会を行いました。すらりと背が高く、スカートをはいた姿を見て、子どもたちは「女の人なの?男の人なの?」と尋ねました。笛田さんは「さあ、どっちでしょう?」と笑顔でこたえ、自分の思いを伝えました。
「男か女かだけじゃない、いろんな性別の人がいます。大切な命だから、人と違っても、多少不格好でも、私は一生懸命、ありのままに生きたいと思っています。」

いかがでしたか。
笛田さんは、現在、北九州市市民活動サポートセンターの相談員として、性的マイノリティ、いじめ、不登校の問題など、さまざまな相談を受けています。「もし、あなたの身近な人が性的マイノリティだったら、否定しないで、受け止めてあげてほしい。」と笛田さんは言います。多様性を認め合い、誰もがありのままの自分で生きられる、そんな社会を目指したいですね。
では、また。