人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

メニュー

ここからコンテンツです

明日への伝言板試聴コーナー

  • 2021年11月26日(金)放送
  • テーマ / 家族 ジャンル検索
  • 僕の弟の個性

宮本隆治

YouTubeを再生する

PDFダウンロードPDFダウンロード
僕の弟の個性

今日は、福岡法務局と福岡県人権擁護委員連合会主催の第三十九回全国中学生人権作文コンテスト福岡県大会で福岡県弁護士会賞を受賞した、中学三年生の作文『僕の弟の個性』を紹介します。この作文は、一部省略して朗読します。

僕の弟の個性には〝自閉症スペクトラム障害〟という名前がついています。
発達障害の一種で、対人関係を調整する事が難しく、強いこだわりをもつ特性があります。生まれつきの脳機能障害で、育て方やしつけの問題では無い事がわかっています。
僕の弟は夜泣きがひどく、4歳になっても1時間に1度は大声で泣きわめいていた事を覚えています。多動で、危ない事を止めた場合でもかんしゃくを起こし、頭を壁や床に何度もたたきつけました。外出先でもところ構わずパニックを起こす弟に
「すみません。すみません。」
と言いながら弟をあやす母の姿や迷惑そうな周囲の目、心無い言葉に
「うるさい。恥ずかしい。」
そう思うようになっていきました。
弟の病院や療育センターについて行く機会があり、〝弟はワガママや自分の意思でそうなっている訳では無い〟という事を知りました。先生の話を聞いて、僕は弟を守りたいと強く思うようになっていきました。肯定的でわかりやすい言葉を使う事、短く端的に話す事などの接し方を教えてもらい、家族一丸となって弟の障害と向き合ってきました。
早期発見、早期療育や先生達のおかげで、知的障害もあるとされていた弟が、3歳になると僕の教科書に興味を持ち自然に読み書きや九九を覚えたので、とてもおどろきました。それから少しずつ言葉が増え簡単な会話ができるようになるとかんしゃくも減っていきました。初めて『にいちゃん』と呼ばれた時は涙が止まりませんでした。
そんな弟も小学4年生になりました。これから先、弟が生きづらさを抱えたり、悩んだり苦しんだ時には、僕がサポートできるように障害についてもっと学んでいきたいと思います。
現在、発達障害を診断、治療を行う所が少なく、困っている子供達が増えていると聞きました。将来、僕はそんな子供達の力になれる仕事につきたいと思います。

いかがでしたか。
障害についてきちんと知ったことで、障害は個性だと思えるようになった作者。一人一人の理解が大切だと感じました。
では、また。