人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2021年11月3日(水)放送
  • テーマ / 性的指向・性自認 ジャンル検索
  • 学生の心を支える環境づくり

鶴田弥生

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学生の心を支える環境づくり

近年、トランスジェンダーの学生を支援する取組が、徐々に増えています。トランスジェンダーとは、身体と心の性が一致せず、身体の性に違和感を持ち、心の性と一致する性別で生きたいと望む人のことです。大学では、誰でも使えるトイレを設置したり、女子大学がトランスジェンダーの学生を受け入れる発表をしたり、新しい変化が見られるようになりました。
今日は、北九州市立大学で、学生支援をしている小野憲昭先生にお話を伺いました。

「今から八年前のことです。ある学生さんが大学の相談室に来られて、『男性の名前で呼ばれるのがどうしても嫌で、〇〇君ではなく、〇〇さんと呼ばれたい。』という相談をされました。その方は、性別に違和感があり、戸籍の名前ではなく、女性の名前を使いたいというご希望でした。
名前は、その人の存在を示すとても大切なものです。悩んでいるのであれば、何とかしなければと思いました。ニーズが少ないのではないか、という意見もありましたが、学生さんが選べる環境を用意することが私たちの役目です。二〇一四年に通称名を使用できる制度をつくり、授業中の点呼や学生証、成績表など、大学で使う名前すべてに適用できるようにしました。」

北九州市立大学では、二〇二一年四月、性的マイノリティの学生支援について、新しいガイドラインを作成しました。通称名を申請する際、以前は必要だった医師の診断書がいらなくなるなど、対応の見直しが進んでいます。また、学生相談室では、性的マイノリティの学生が相談しやすい環境を整え、健康診断を別にしてほしいなどの要望にも随時対応しています。

小野先生は、学生支援をするうえで、環境づくりと同時に、心の支えになることを大事にしていると言います。
「通称名の制度は、今まで三人の学生さんが利用しました。関心はあっても利用を見送る方もいますし、どちらの性別で生きていくか心が揺れている方もいます。私たちとしては、ご本人の気持ちが固まるまで寄り添い、選んだ道をサポートしていきたいと思っています。」

いかがでしたか。
学校や地域など、私たちの身近な場所には、さまざまな人がいます。多様性を認め合うことで、誰もが生きやすい社会になっていくのではないでしょうか。
では、また。