人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2022年11月24日(木)放送
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  • 危険な正義感

ジェフ太郎

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危険な正義感

今日は、福岡法務局と福岡県人権擁護委員連合会主催の第四十回全国中学生人権作文コンテスト福岡県大会で優秀賞を受賞した、うきは市の中学三年生、吉山杏さんの作文を紹介します。題は『危険な正義感』です。この作文は、一部省略して朗読します。

ホームレスという言葉を聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべただろうか。
ホームレスの人達に対する「偏見」を調べ、こんな記事を見つけた。『野宿の人の約四割が経験している暴力被害』。私はこの見出しを見て、偏見を口にするだけでなく、暴力までふるう人がいるのか・・・とがっかりした。都内だけで、この二十年で十名以上の野宿の人が十代の若者に殺されているという報告を見て、背中がひんやりとした。なぜ私とあまり年の変わらないような子が、そんなことをしたのか。
記事を読み進めていくと、別の話題について書かれていた。ホームレスについて取りあげた番組が、不適切であるという内容だった。ある野宿の人を、「人間の皮を被った化け物」と呼んだり、おどろおどろしいテロップを出したりと、問題の多い放送内容だった、という。 
こういった番組放送がなされてしまう理由として、この記事を書いた方は「ホームレスへの『無理解』だけによって起こったものではない。『無理解』だけであれば、悪意のある内容にはならない。」と言っている。私はこれにすごく共感した。そして、「無理解」以上の感情に、〝危険な正義感〟というものがあるのではないかとも考えた。
「ホームレスは公共の場で暮らしている、迷惑な存在なんだ」と、一方的な意見を押しつけ、自分のしていることは正しいと思い込んで、暴力や暴言を浴びせているのではないだろうか。
私が偏見をなくしていくためにできると思うことは、自分の考えを客観的に見てみるということだ。その人達の行動があまり良くないと思っても、少し、発言する前に考えてみてほしい。相手の言葉にも耳を傾け、自分の言葉に責任を持ち、外の視点から自分を見ることが大事なのだと改めて感じることができた。
 
いかがでしたか。一方的な正義感は、人を傷つける危険があると気づいた吉山さん。自分に偏った思い込みがないか、私たちも考えることを忘れずにいたいですね。
では、また。