人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2022年11月8日(火)放送
  • テーマ / 同和問題(部落差別) ジャンル検索
  • 水平社宣言から100年

鶴田弥生

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水平社宣言から100年

みなさんは、「水平社宣言」が発表されてから、今年で一〇〇年になることをご存じですか。
「水平社宣言」は、大正十一年三月三日、被差別部落の人々が差別からの解放を目指して創立した「全国水平社」の創立大会で読み上げられたものです。
この宣言には、長い間、不当な差別を受けてきた人々が、自らの力で人権を回復し確立しようとする強い思いと、人間の尊さをみんなで認め合い、大切にし合う気持ちが込められています。

同和問題とは、特定の地域の出身であることなどを理由に結婚を反対されたり、就職において不当に扱われたりするなど、日常生活の上で差別を受けるという、日本固有の人権問題です。
明治四年のいわゆる「解放令」により、身分制度はなくなりましたが、人々の中には差別意識が残りました。「水平社宣言」が、「解放令」から五十年以上たって発表されたことからも、差別が長い間、残っていたことがわかります。
その後、同和問題の解決は国の責務であるとして、様々な取組が行われましたが、平成二十八年に施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」には、現在もなお部落差別が存在すると明記されています。
同和問題(部落差別)を身近な問題と感じていない方もいるかもしれませんが、依然として、差別的な発言や、結婚相手の出身地で反対されるなどの差別事象が起きています。
現在は、インターネットの掲示板やSNSへの特定の地域、人に対する誹謗中傷や差別的な書込みのほか、被差別部落の地名一覧や特定の地域を被差別部落だと紹介する動画をインターネット上に公開するといったことが起きています。
インターネット上の差別は、瞬く間に拡散し、いつまでも残ります。この差別や偏見による情報の拡散が、新たな差別を生みだす原因となるのです。

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれた「水平社宣言」から一〇〇年たった今もなお、偏見や差別に傷ついている人たちがいることを知ってほしいのです。出身地や住んでいる場所で差別されることは、絶対に許されないことです。
「水平社宣言」一〇〇周年を機に、一人ひとりが同和問題(部落差別)を身近な問題としてとらえ、正しい知識と理解を持って、すべての人の人権が尊重される社会の実現を目指していきましょう。
では、また。