人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2022年11月14日(月)放送
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  • 職場におけるパタハラ

鶴田弥生

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職場におけるパタハラ

最近は、率先して育児を行う男性が増えています。
しかし、一方で、そうした男性の前に立ちはだかる「パタニティハラスメント」があることを知っていますか。略して「パタハラ」、育児休業や時短勤務を希望する男性に対して行われる嫌がらせのことです。

令和三年六月、「育児・介護休業法」が改正され、令和四年四月から段階的に施行されています。その中で強くうたわれているのが、男性の育児休業取得の推進です。本来、労働者は誰でも等しく育児休業を取得できる権利を持っています。
しかし、国の令和三年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は、およそ十四%で、女性の取得率およそ八十五%と比べ大きな差があります。そして、その要因の一つとして挙げられるのがパタハラです。
ちょうど今、この問題に直面している男性がいます。会社での会話を聴いてみましょう。

【本人】「課長、育児休業を取りたいと考えているのですが…」
【課長】「この忙しい時期に休まれると困るんだが。」

課長の素っ気ないひと言に、男性は、「確かに、うちの部署はギリギリの人数でやっているから、一人抜けると大変だ」と思い、その場では、強く申し出ることができませんでした。

しかし、出産日が近づくにつれて、「子育てのスタートラインには夫婦一緒に立ちたい」という思いはますます強くなっていきました。

【本人】「課長、やはり育児休業を取らせてください。」
【課長】「休んだら戻る場所はないかもしれないよ。大丈夫か。キャリアに影響するかもしれないしなぁ。」
【同僚の男性A】「自分だけ育児休業を利用して休むとか羨ましいな。」
【同僚の男性B】「周りの迷惑を考えないのかなぁ。」

いかがですか。
厚生労働省の調査によると、この男性のような「パタハラ」を経験したことがある人は、およそ二十六%。男性社員の四人に一人です。
男性の育児休業取得が進まない背景には、上司や同僚などの理解不足に加え、「育児は女性が行うもの。男性は子どもが産まれても休まず仕事をすべき」といった偏見が根強くあるようです。こうしたことも、パタハラにつながっています。
パタハラをなくし、男性が安心して育児休業を取るために、「育児休業は、子どもと親が共に過ごす大切な期間」だと意識を変えていくことが必要ではないでしょうか。
では、また。