人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2023年11月21日(火)放送
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男性トイレにもサニタリーボックスを

「人権」は、日常生活に当たり前に存在するものです。しかし、私たちの思い込みや決め付けによって一人一人を尊重する意識がおろそかになり、周りからは見えにくい生きづらさを抱えてしまう人もたくさんいます。

例えばここ数年、「男性用トイレにもサニタリーボックスを」という声に応えて、全国の自治体や民間企業でボックス設置の取り組みが始まっていることを御存じですか?

まずは、一人の男性の経験を御紹介しましょう。
彼は数年前にがんを患い、ぼうこうを摘出しました。手術後は代用のぼうこうになりましたが、尿意を感じないので二時間おきにトイレに行っています。それでも、急に動くと尿が漏れ出すこともあり、尿取りパッドが欠かせなくなりました。
そこで困ったのが、外出時の使用済みパッドの処分です。女性トイレには生理用品を捨てるためのサニタリーボックスが完備されているのが当たり前ですが、男性トイレには不要という決め付けで、置かれていないことが多いためです。

この男性は「そのまま普通ごみとして捨てるのはマナー違反だと思い、袋に入れて持ち帰ることも度々です。」と、ため息をつきます。

大手衛生用品企業の調べによれば、がんや前立腺の病気、高齢などの理由から、男性用尿取りパッドの市場規模はこの十年間でおよそ七倍に拡大。一方で、利用者の多くが「外出先にサニタリーボックスが無くて困った」経験をしているといいます。
その結果、日に何回もパッドを交換する必要があることから、遠出を諦めたり外出を控えたりする人もいるそうです。

いかがですか。
男性にサニタリーボックスが必要なんて考えてもみなかった、という人もいると思います。
これは一つの例ですが、ほかにも、職場や学校、家庭など日常生活のあらゆる場面で、私たちが想像できていなかった不便さや生きづらさを感じている人も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。話しても理解してもらえないだろうと誰にも言えず、問題が見過ごされてしまいがちです。
このように、周りからは見えにくい問題を解決するためには、困っている人が声を上げやすい環境をつくると同時に、私たちも相手の立場に立って考えてみることが大事ですね。
では、また。