人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2023年11月24日(金)放送
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民族共生象徴空間「ウポポイ」

北海道の中南部に位置する白老町に、「ウポポイ」という愛称で呼ばれる施設があります。「ウポポイ」とは、アイヌ語で「おおぜいで歌うこと」。ここは、アイヌ文化の復興・創造・発展の拠点となる「民族共生象徴空間」です。

皆さんは、アイヌの人々のことをどれくらい知っているでしょうか。
北海道を中心とした地域に古くから住んでいるアイヌの人々は、固有の言語であるアイヌ語や伝統的な儀式・祭事、ユカラと呼ばれる叙事詩など、独自の豊かな伝統や文化を築き上げてきました。
しかし、特に明治以降は、アイヌの人々の風習を禁止し、土地を奪い、日本語の使用を強制するなど、大々的な同化政策が行われました。さらに、一八九九年には、法律が制定され、これまで続けてきた狩りや漁を中心とする生活から、農業中心の生活に変えさせられることもありました。
同化政策は長く続き、アイヌの人々の生活の基盤や独自の文化は急速に失われることになりました。生活の糧を奪われて貧困に陥る人も多く、就職や結婚の差別、学校でのいじめなどに苦しんできたのです。
そのような中、アイヌの人々は法律撤廃運動を展開。一九九七年に法律は廃止となり、代わって、「アイヌ文化振興法」が制定されました。

二〇一九年には、アイヌの人々を、日本の「先住民族」と初めて明記した法律「アイヌ新法」が成立し、この中には、「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活できる社会の実現を目指す」という言葉が盛り込まれています。
そして、その翌年の二〇二〇年に「ウポポイ」が誕生したのです。
「ウポポイ」は、アイヌ民族の歴史・文化を学び伝えるだけでなく、日本が将来に向けて先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴としても位置づけられています。人々が互いに尊重し共生する社会のシンボルなのです。

今もなお、アイヌの人々に対する差別や偏見が残っています。そのため、自分がアイヌであることを隠し続けて生きる人もいます。
私たち一人一人が、アイヌ民族の歴史や伝統、文化を、正しく理解し尊重することが、差別や偏見をなくすことにつながります。
私も北海道へ行く機会があれば、「ウポポイ」を訪れてみたいと思います。
では、また。