人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2023年11月28日(火)放送
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子どもの労働

皆さんは「人身取引」という言葉を聞いて、どのようなイメージが浮かびますか?
人身取引とは、強制労働や性的搾取、臓器売買など、暴力や詐欺、権力の乱用といった手段で人を商品のように取引する行為です。現代版奴隷制度ともいわれ、仮にこのような行為に被害者が同意していたとしても人身取引にあたります。また、被害者が子どもの場合は、どのような手段であろうと人身取引とみなされるのです。

こんな卑劣な行為は自分には関係ない、と思っている人も多いかもしれません。でも、私たちが普段何気なく口にしている食料品や、身に着けている衣服などが人身取引に関係しているとしたらどうでしょう?
実は、チョコレートの原料となるカカオ豆やコットンの生産現場などをはじめとして、世界では、一億六千万人もの子どもたちが大人と同じように働かされています。彼らは、労働のため十分な教育を受けることができず、健全な成長を妨げられています。

国際労働機関・ILOでは、義務教育を妨げる十五歳未満の労働と十八歳未満の危険で有害な労働を「児童労働」と定義し、条約で禁止しています。これは重大な人権侵害なのです。
このような児童労働が起きる背景には、「生産コストを切り詰めたい」という事業者の動機があります。つまり、私たちがお店で買う食べ物や日用品の価格を安くするために、子どもたちが働かされているのが実態です。

私たち自身は、日ごろから、商品やサービスを選ぶ際、それが人身取引により作り出されたものではないかを意識することが必要です。例えば、生産者に適正な対価が支払われている「フェアトレード」商品を選んで買うことなどが考えられます。

人身取引は、遠いよその国の話でも、はるか昔の話でもありません。今も、ここ日本を含む世界のあらゆる国、あらゆる地域で多くの犠牲者を生んでいるのです。
世界中から人身取引の被害をなくすために、私たちはまずその実態を知り、決して自分に無関係ではないと、この問題に関心を持つ必要があるのではないでしょうか。そして、自分に何ができるか考えることも大切ですね。
では、また。