人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2023年11月13日(月)放送
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二次的被害への理解を

十一月二十五日から十二月一日までは「犯罪被害者週間」です。
毎日のように、強盗や性暴力などあらゆる犯罪がテレビや新聞で報道されています。犯罪は、皆さんの身の回りで起きており、近年は、「誰でもよかった」などという無差別な凶悪犯罪も後を絶ちません。何の落ち度もない人が、ある日突然犯罪に巻き込まれています。今日は、令和三年に行われた「犯罪被害者週間 新潟大会」の基調講演から、交通事故で息子さんを亡くされたお母さんの話を紹介します。

亡くなった息子さんは、小学二年生。学校の帰り道で、一時停止をしてから道路を渡り始めたときに、反対車線から突っ込んできた大型トラックに巻き込まれ、即死だったそうです。
あまりに突然の出来事に、お母さんはお通夜や葬儀の席で涙も出ないほどショックだったと言います。その後は、事故や息子さんに関わる場所を避けて生活するようになり、電話や救急車の音が怖くなりました。長い間、「自分だけが楽しむなんてできない」と旅行や趣味も遠ざけ、興味本位の哀れみの目が気になり、人に会うのも怖くなりました。「なぜ何もしていない息子が!!」と加害者を憎む気持ちや、あの日を振り返っては湧きあがる後悔など、様々な思いを抱えながら過ごす日々でした。
そんな中、「がんばれ」「他にも子どもがいるんだからしっかりして」「子どものいない人だっているんだし」…、このような周りの人が励ますつもりでかけた言葉にも深く傷ついたと話されています。
さらに、「元気そうね。私だったらとても生きていけないわ」と言われた時には、がく然としたそうです。
 
いかがですか。
犯罪被害者への二次的被害は、周囲の心ない言葉かけや応対によっても起こります。また、偏った報道によって「あなたも悪かったんじゃない?」というような誤解を受けることや、インターネット上に個人情報を流されたり、悪質な書き込みをされたりすることもあります。

私たち一人一人が犯罪被害者やその御家族の計り知れない苦しみを、少しでも理解しようと心がけること、その配慮が大切ではないでしょうか。
では、また。