令和八年の干支は「丙午」。巡ってくるのは六十年に一度です。
この丙午についておばあちゃんと孫が、こんな会話をしています。
【孫(二十代)】ねぇねぇ、おばあちゃん、お母さんの干支は丙午でしょ。丙午の年に生まれた女性は、いろいろ言われることがあったってほんと?
【祖母(八十代)】まぁ、昔はね。なんでも江戸時代のころから、「丙午に生まれた女性は、気性が激しくて夫の寿命を縮める」なんていわれていたらしいよ。
【孫】えー、そんな非科学的な話が本当に信じられてたの?
【祖母】迷信なんて、そんなものでしょ。冷静に考えると、おかしいって分かるんだけどね。あなたのお母さんを産むときも、周りからは「丙午だけど、女の子だったらどうする? 大丈夫?」なんて、結構心配されたものよ。
【孫】確かにお母さんは気が強いけど、それは丙午生まれだからじゃなくて、性格だよね(笑)。それに、昔のそういう話って、女性に対するものが多いような気がするんだけど。
【祖母】そう言われてみれば、そうだね。
おばあちゃんとの会話が気になり、孫が調べてみると、丙午の迷信は、江戸時代に歌舞伎や浄瑠璃で語られた情熱的な女性の物語がきっかけだと伝えられていました。
丙午の年に生まれた女性を差別する、こうした非科学的な迷信による偏見は、時代が変わっても残り続けました。丙午生まれを理由に結婚できなかったり、それを苦にして命を絶ったりした女性もいたといいます。
前回の昭和四十一年には、出生数が前年と比べて、およそ二十五%も減少するという異常な社会現象が起きていました。
丙午の迷信の根底には、「女性はこうあるべき」という固定観念や女性蔑視の名残がうかがえます。こうした迷信や悪いイメージをうのみにしたり、それに振り回されたりすることは、「無意識の偏見」であり、そこから差別につながります。
母親の干支が丙午だったことをきっかけに、孫は丙午の迷信に興味を持ち、いろいろな発見や気づきがあったと言います。そして、後日、おばあちゃんにこう言ったそうです。
【孫】大切なのは、「女性だからこうだ」「丙午だからこうだ」と決めつけるのではなく、その人自身の人柄や個性を尊重することだよね。
【祖母】うん、うん、本当にそうだよね。
では、また。



