特集 文化芸術の振興

グラン ソレイユ合唱団写真
▲市民参加型の合唱の取り組み「グラン ソレイユ合唱団」

市民が創る「文化芸術の街・北九州」

 心豊かに生きていくために、文化芸術は多様な力を発揮します。本市では、平成22年に「北九州市文化振興計画」を策定し、文学、音楽、美術、演劇など、さまざまな文化芸術の振興に取り組んできました。そうした中、アニメや漫画、映画等に代表されるメディア芸術への関心の高まりや、文化芸術を活用した「地方創生」への期待など、文化芸術を取り巻く環境は変化しています。そこで今年4月、文化振興計画を改訂し、今後の文化芸術の取り組みの方向性を示しました。今回は、本市の文化芸術の歴史や現在の取り組みなどについて特集します。

本市の文化芸術の歴史

 古くは小倉藩の城下町や長崎街道の宿場町として栄え、明治以降は官営八幡製鐵所の創業を契機とした近代工業都市として国内有数の企業集積地となった北九州市。

 当時、大陸貿易の拠点である門司港や官営八幡製鐵所をはじめとする工業地帯は、大陸や首都圏などから大勢の人や多くの情報が流れ込み、それらが地域文化と交わる「文化先進地」として栄えました。また会社内のクラブ活動などを軸とした文化活動も盛んで、こうして育まれた本市の豊かな文化的土壌は、多くの文化人の輩出につながっています。

文化芸術で目指すまちの姿

 北九州市文化振興計画の基本理念は、「市民が文化芸術を身近に感じ、市民自身が文化芸術を支えるまち」です。

 本市の豊かな文化的土壌を引き継ぎ、計画の基本理念の実現を目指すため、(1)「北九州市らしさや特長のさらなる強化」、(2)「次代の担い手の育成」、(3)「文化芸術を生かしたまちづくり」、(4)「国内外への積極的な発信」の四つの戦略により取り組みの重点化を図り、文化芸術の振興に努めます。

特徴ある文化芸術の取り組み

 文学の分野では、今年開館10周年を迎える文学館や松本清張記念館(いずれも小倉北区城内)を拠点に、本市ゆかりの作家・文学者のPRや顕彰を進め「文学の街」を発信します。他にも、「林芙美子文学賞」や「子どもノンフィクション文学賞」などの取り組みで、新たな文化芸術の担い手となる人材を育成します。

 音楽と演劇の分野では、質の高い公演の開催に加え、多くの市民が、合唱する側、聞いて楽しむ側として参加できる「合唱の街・北九州」などの取り組みを推進します。

 さらに、フィルム・コミッションを中心とした活動を積極的に進め、「映画の街」という新たな都市ブランドの確立に努めていきます。国際的な広がりと可能性を秘める漫画文化について漫画ミュージアム(小倉駅北側、あるあるCity5・6階)を拠点に情報発信を強化するとともに、(仮称)北九州国際漫画大賞の創設などを行います。

 また、本市の伝統文化の継承として、「戸畑ぎ園大山笠行事」のユネスコ無形文化遺産への登録に向けて関係者と連携していきます。

担い手の育成

アーティストの派遣の写真

 市内の小・中学校等にアーティストを派遣したり、ホールや美術館などに子どもたちに来てもらうことにより、表現力や想像力を養うとともに、将来の文化芸術の担い手を育成します。

罫線

 こうした特徴ある取り組みを通して市民が暮らしの中で文化芸術に触れながら、シビックプライド(郷土への愛着)をより高めていけるよう取り組んでいきます。

 皆さんも、まずは知って、親しんで、参加してみてください。そして、本市の文化芸術の魅力を、積極的に国内外へ発信していきましょう。

50年思い描き続ける「北九州を演劇のまちに」

井生定巳さん写真

北九州文化連盟会長 劇団 青春座代表 井生定巳さん

私が代表を務める「劇団 青春座」は、終戦直後の昭和20年10月に旗揚げして以来、70年以上も北九州で活動をしてきました。

 演劇が盛んな土地柄から、私が入団した昭和40年は、まだ企業が部活動として劇団を持っていることも多く、地元の劇団数も多かった時代です。そのため、青春座の呼び掛けで10以上の劇団による、全国でも珍しい合同公演を行うこともできました。しかしその後、劇団の人材不足や観客の減少で、劇団数はどんどん減りました。そんな中でも青春座が続けられるのは、郷土の題材を掘り起こして、観客の共感を得てこられたからだと自負しています。

 青春座では、小倉祇園太鼓や北九州市ゆかりの俳人・杉田久女、最近では若戸大橋の建設などを題材とした芝居を上演しています。こうした活動が、市民が地元を知り、誇りを持ってもらうための機会にもなると思います。

 今後も、若い世代が演劇の新しい時代を創り、芝居が仕事として成り立つまちになることを願っています。

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 文化イベントカレンダーのほか、市内の各文化施設で活躍中の学芸員がさまざまな文化芸術を紹介する、内容盛りだくさんのフリーペーパーを毎月発行しています。また、掲載記事はCulCulホームページやアプリでもご覧になれます。

【この特集に関するお問い合わせ】  市民文化スポーツ局文化企画課 TEL093・582・2391

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