人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月19日(火)放送

テーマ / ひきこもり ジャンル検索

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「ひきこもり」に寄り添うということ
いま、仕事をしたり学校に通ったりすることができず、家にこもりきりでいる「ひきこもり」状態の人は全国で一〇〇万人を超えるといわれます。本人も家族も、将来に大きな不安を抱いています。
北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」では年に二千件以上の相談に応じ、本人と家族に寄り添い、居場所づくりや仲間づくり、地域とのつながりづくりなどの支援を続けています。

「すてっぷ」の和田修センター長によると「ひきこもり」状態になるきっかけはさまざまだと言います。精神的な疾患や障害による不安や恐怖感から、人と会うことが困難になる人もいます。受験の失敗や対人関係のトラブル、あるいは仕事上のミスなどをきっかけに、立ち直れなくなった人もいます。挫折感や心の傷を抱えてひきこもりとなった本人にとって、もとの集団に復帰するのは大きな困難を伴います。そこで無理に行動させようとしても逆効果。さらに本人を追い込んで長期化しがちです。
膠着状態をほどいていくために、「すてっぷ」では「家族の支援」からスタートします。疲れ切って暗く沈んだ表情で相談に訪れる家族に、和田さんは「ひきこもりについての正しい知識」を伝えると共に語りかけます。「まずは、ご家族の健康を取り戻してください。ご家族が元気になると、家の空気が柔らかくなり、お子さんが安心して過ごせるようになります」
家の中が安心できる場所になると、動き出すためのエネルギーがチャージできます。本人の中に何かをしてみたいという意識が芽生えたときに、さまざまな情報を提供し、地域とのつながりを模索する。時には社会に出たものの、また戻ってしまうケースもあるそうです。焦らず、ゆっくりと、確実に。一人一人のペースを尊重した居場所づくり、仲間づくりが続きます。

「外からの風が入ることで動かないパズルが動き出すものです。家族だけで抱え込まずに、まずは相談してください」と和田さんは呼び掛けます。「すてっぷ」では月曜から金曜の午前十時から午後四時、電話相談に応じています。番号は〇九三―八七三―三一三〇。来所相談は予約が必要です。
では、また。