人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月22日(金)放送

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おじさんにふれて
今日は、北九州市八幡西区の中学二年生、金子葉春さんの作文を紹介します。題は『おじさんにふれて』です。この作文は一部省略して朗読します。

今年の夏休み、私は区役所のフリースペースで、あるおじさんと出会いました。
私が座って勉強していると、そのおじさんは私にぶつかってきました。お互い「すいません。」と言い合って、またぶつかり、また「すいません。」と言い合いました。私はおじさんのことを少し不信に感じていました。
おじさんは私に「中学生?」と話しかけてきました。私は驚きながらも「はい。」と答えました。他にも、「何年生?」など、いくつか質問され、答えて良いのか迷ったけれど優しそうな声に正直に答えました。おじさんは、納得したように「後ろの席に座っているから、何かあったら言ってね。」と、席につきました。
そのうち、後ろからカチカチと音がしてきました。そっと後ろを振り返って見ると、それは点字を打つ音だったことがわかりました。
私は、はっとしました。おじさんがぶつかってきたり、私のことについて質問してきたのは、目が見えていなかったからだったのです。おじさんに不信感を抱いていた自分が恥ずかしくなりました。どうすれば良いのかわからずにいると、おじさんの「後ろの席に座っているから何かあったら言ってね。」という言葉を思い出しました。お節介はせず、私のことを気遣ってくれていたと感じ、私も同じで良いのかなと思いました。
おじさんが話しかけてくれたように、私も、障害のある人、ない人、お年寄りなど、様々な人に、まずは勇気を出して、自分にできることはないか、相手に尋ねることから行動してみようと思いました。大事なことを気付かせてくれたおじさん。次に会ったときは、私から名前を聞いてみようと思います。

いかがでしたか。何度もぶつかってくるおじさんは、実は目が不自由なのだと気付いた葉春さん。どう対応すれば良いか迷ってしまいますが、ふと「何かあったら言ってね」の一言を思い出します。おじさんから大切なことを教えてもらいましたね。
では、また。