人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月14日(火)放送

テーマ / 多様性の尊重 ジャンル検索

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一人じゃない
今日は北九州市立文学館が平成二十八年度に募集した第七回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの中から、長崎県佐世保市の小学五年生、石本光歌子さんの『一人じゃない』という詩を紹介します。
 
 『一人じゃない』
長崎県佐世保市立 清水小学校五年 石本光歌子 

わたしは
 「あなたのような子は
 学校に必ず一人いますから」という
大人の無神経な言葉に傷つき
その大人の真似をする子どもに苦しんだ
もう二度と戻ることができない
子ども時代の一部分をこわされた
たくさんの時間をうばわれた
だから
わたしは自分で
こわされた部分とうばわれた時間を
真っ黒に塗りつぶした
そして
あの場所から勇気を出して逃げた

新しい場所でも
 「あなたのような子は
 学校に必ず一人はいますから」という
大人の無神経な言葉に傷ついた
でも
今のわたしの周りには暴力と暴言で
わたしを傷つける子どもはいない
だから
わたしは
真っ黒に塗りつぶした部分が
少しでも小さくなるように
やりたかったことを
思いっきりすることにした

友だちとおしゃべりすること
友だちと笑うこと
友だちとケンカすること
友だちと時間を過ごすこと
わたしにとって
特別で大切なことをしている
わたしだけの子ども時代を
きれいな色で塗り直している

いつかまた
 「あなたのような子は
 学校に必ず一人はいますから」と
立派な大人に言われたら
このように考えたい
学校の数だけ「一人」がいる
そして「一人」卒業生もたくさんいる
だから
わたしは「一人」じゃない
となりの学校の「一人」も
行ったことのない町の「一人」も
見たこともない国の「一人」も
 「一人」に見えるかもしれないけど
 「一人」じゃない
あなたもわたしも「一人」じゃない

いかがでしたか。もし、「自分は一人だ」と思うことがあったら、周りを見まわしてみませんか。光歌子さんが言っているように、世の中にはいろんな一人の人がいます。あなたは決してひとりぼっちではありません。
それに、人は一人では生きていけないのです。あなたが今、生きているということは、たくさんの人に支えられている、そして、あなたも誰かを支えているということです。
 「自分はひとりぼっちだ」と思った時は、「明日への伝言板」のこと、思い出して下さいね。
では、また。