人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2018年10月22日(月)放送

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ぼくはセミ
今日は、北九州市立文学館が平成二十九年度に募集した第八回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの受賞作品の中から、北九州市八幡西区の中学三年生、吉原里咲さんの『ぼくはセミ』という詩を紹介します。

『ぼくはセミ』
       北九州市立熊西中学校三年 吉原 里咲

ぼくはセミ
今日 やっと成虫になった
今日から地上での生活だ
よし がんばるぞ

でもぼくは
一週間しか生きられない

ぼくはセミ
ぼくは人間がうらやましい
何年も、何十年も生きることができるから
よく人間はこう言う
「また今度すればいいや」と。
今度っていつだろう。
あした?あさって?
それとも来週?再来週?
先延ばしにしていると、
ぼくたちはあっという間に死んでしまう
だからぼくは、今を必死に生きる
ほんの少ししか生きられないけど
そのほんの少しの間
人間に負けないくらい必死に生きてやる

ぼくはセミ
ぼくが生きていられるのも 今日で最後だ
今日でもう死ぬんだ
やっぱりぼくは 人間がうらやましい
まだまだ 生きることができるから
ぼくは どれだけ生きたくても
一週間しか生きられない
でも人間は まだまだ未来があって
まだまだ喜びや悲しみを感じる事ができて
まだまだ努力する事ができて
いろいろなことを経験する事ができるんだ
うらやましいな

ぼくはセミ
ぼくは人間がうらやましい
だけどぼくは
人間に負けないくらい一生懸命生きたんだ
人間にとってはたかが一週間でも
ぼくにとってはかけがえのない一週間だったんだ
だから人間には
たかが一日でも
精いっぱい生きてほしい
「生きる」って素晴らしいことだから

ぼくはセミ
ぼくは一週間しか生きられなかった
それでも
一日一日を一生懸命に、生きた

いかがでしたか。
この詩の主人公セミは地上では一週間しか生きられないので、何十年も生きる人間をうらやましく思います。でも、一週間も何十年も、かけがえのない命の時間であることに変わりはないと気付きました。
私たちは何気なく毎日を過ごし、今、そこにある幸せに気付いていないのかもしれません。里咲さんは最後にこう語りかけています。

たかが一日でも
精いっぱい生きてほしい
「生きる」って素晴らしいことだから

では、また。