人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2019年11月14日(木)放送

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おかあさんのかみなり
今日は、北九州市立文学館が平成三十年度に募集した第九回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの受賞作品の中から、北九州市小倉北区の小学三年生、小田孝太朗さんの『おかあさんのかみなり』という詩を紹介します。本人の朗読でお聴きください。

『おかあさんのかみなり』
               北九州市立足立小学校三年 小田孝太朗

おじいちゃんから むかしは
こわいものといえば
地しん かみなり 火事 おやじ
と教えてもらった

ぼくが こわいものといえば
かみなりを落とすときのお母さん
ああ 今日もかみなりが落ちる
テストが返ってきたからだ

学校から わざとゆっくり帰った
大へんなことになっていた
お母さんが ぼくの前に立った
「おこられるから帰りたくなかった。」

正直に話した。
はげしいかみなりが落ちるぞ
と思ったとたん
ぎゅうと力いっぱいだきしめて
こう言った
「おこってばかりでごめんね
 生きた心地しなかったよ
 勝手にいなくならないこと
 でも帰ってきてくれてありがとう」

お母さんのやさしいかみなり
ぼくだけに落ちるかみなりも
わるくないな

いかがでしたか。
孝太朗さんは水泳がとっても得意な男の子です。でも国語は少し苦手みたい。お母さんが今日の国語のテストの点数を見たら、大きなかみなりが落ちるに違いないと思ったようです。
少しでもその瞬間を遅らせたくて、実はその日、孝太朗さんはわざと遠回りをしたんですって。いつもは寄り道しない公園にも行って時間をつぶしたんです。だから、家に着いたころには日が沈んで暗くなりはじめていました。
すると家では意外なことが起こっていました。なかなか帰ってこない孝太朗さんを心配して、ご近所の人が集まっていたんです。孝太朗さんの姿を見つけて、お母さんが駆け寄ってきました。孝太朗さんが「おこられるから、帰りたくなかった。」と正直に伝えると、待っていたのはお母さんの優しい言葉でした。
「おこってばかりでごめんね」
「帰ってきてくれてありがとう」
心配でたまらなかったお母さんの心からの気持ち。その日のかみなりは、孝太朗さんを温かく包み込みました。
では、また。