人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月20日(金)放送

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笑顔のループ
今日は、北九州市小倉北区の小学五年生、近藤蓮也さんの作文を紹介します。題は『笑顔のループ』です。

僕は、いつもイライラしていた。お父さんの言うことは、聞きたくない。お母さんが話しかけてくるのは、うざい。弟は生意気で、意地悪ばかりしたくなる。なんでこんなに、むかつく事ばかりなんだろう。
ある日僕は大きな声をあげて、お母さんに刃向かった。汚い言葉を浴びせて、お母さんを傷つけた。理由なんてない。ただイライラして、気に食わなかっただけなんだ。お母さんは、そんな僕を見て、
「反抗期だから、何にでも逆らいたくなるんだよね。」
と言った。その顔は、とても悲しい切ない顔だった。
夏休みのある日。お母さんと二人で、出かけることになった。久しぶりの二人きり。話す事なんてない。とても気まずい空気だった。沢山買い出しをして、重そうに荷物を持つお母さん。反発心から素直に、
「僕も持つよ。」
と言えなくて、袋をうばい取る形で受け取った。お母さんはにっこり笑って、
「ありがとう。」
と言った。僕は心にすごく温かいものを感じた。「ありがとう。」って言われた事。なによりもお母さんが僕に向けてくれた笑顔が嬉しかったのだ。恥ずかしかったけど、僕も笑顔で返していた。いつもへの字の曲がった口ばかりでお母さんを見てきた僕がへの字でお母さんを見れば、お母さんもへの字になっている。でも僕が笑顔を向ければ、お母さんも笑顔になる。なかなか素直になれないけど、たまには笑顔を向けようと思えた日だった。
笑顔のループ⋯やっぱり僕は、お母さんに笑っていて欲しい。反抗してばかりだけど、そんな僕をちゃんと受け止めてくれてありがとう。

いかがでしたか。汚い言葉を浴びせて、お母さんをとても悲しく切ない顔にしてしまったことが気がかりだった蓮也さん。素直にはなれなくても、お母さんを思う気持ちがちゃんと伝わったから、お母さんはにっこり笑ってくれたんですね。
では、また。