今、私の手元には「レッドリボン」があります。「レッドリボン」は、エイズへの理解と支援の象徴として使われていて、エイズに関して偏見を持っていない、エイズと共に生きる人々を差別しないというメッセージです。
このレッドリボンをシンボルにした「レッドリボン運動」が始まってすでに三十年以上。しかし、日本を含めた世界には、いまだにHIVとエイズについて誤解している人や、偏見を持っている人がいます。
例えば、皆さんは「HIV」と「エイズ」の違いや感染経路について、きちんと答えることはできますか。
HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」のことで、このウイルスに感染すると身体の免疫力が徐々に低下し、いろいろな病気や症状が出るようになります。この状態がエイズです。つまり、HIVはエイズを引き起こすウイルスの名前で、エイズは病気の名前です。
HIVは、性的接触に注意すれば、日常生活で感染する可能性はほとんどありません。握手やせき、くしゃみ、ペットボトルの回し飲み、プール、お風呂、ドアノブ、電車のつり革などでは感染しないのです。
それに、新しい薬の開発など、治療法は日々進歩しています。仮にHIVに感染したとしても、早期発見と早期治療を行うことで、エイズの発症を予防し、健康な人と変わらない生活を送ることができるようになりました。また、他の人への感染リスクも大きく低下させることができます。
しかし、こうした正確な情報が十分理解されていないことから、偏見や差別に苦しんでいる感染者や患者、その家族なども少なくありません。日常生活において差別を受けたり、働き続けることが困難になったり、高齢者施設などへの入所を断られたりする場合もあるそうです。
これはHIVに限ったことではありません。ハンセン病やウイルス性肝炎などの感染症でも、正しい知識がないために偏見や差別が生まれているのです。
感染症によって人間性を奪われることがあってはなりません。そうならないためにも、まず私たち一人一人が感染症について正しい知識を持つことが何よりも大切ではないでしょうか。
なお、偏見や差別については人権相談窓口に、感染症に関することは保健所などに無料・匿名でいつでも相談することができます。市のホームページから検索してみてください。
では、また。