今日は、北九州市立文学館が令和五年度に募集した第十四回「あなたにあいたくて生まれてきた詩」コンクールの受賞作品の中から、福岡市の中学一年生、黒田真未さんの『父が最後にくれた宝物』という詩を紹介します。
『父が最後にくれた宝物』
私は父から母へ送られた最後のプレゼント。そして母は私のことを『最後にもらった宝物』と言う。
私は父から母へ送られた最後のプレゼント。そして母は、『生まれてきてくれてありがとう』と言う。
私は父から母へ送られた最後のプレゼント。この題名にした理由。それは、母が私を産んで三年後、父は病気で天国へ旅立った事。
私は父から母へ送られた最後のプレゼント。その出来事があった後から母が言うようになった言葉…「まなちゃんはね、ひでくんがくれた最後の私の宝物」
私は父から母へ送られた最後のプレゼント。だから、私は、周りの人達、家族、そして自分自身の事を大切にしようと思う。
いかがでしたか。
自分の存在を、「父から母へ送られた最後のプレゼント」と表現する真未さん。その理由はお父さんが早くに亡くなったからですが、この詩からは家族の深い愛情と絆を感じます。
考えてみれば、私たちの命は両親から授かったもの、つまり両親からのプレゼントです。そして、両親にとって子どもは、お互いからのプレゼントと言い替えることができるかもしれません。
ただ、子どもも親も、普段からそういうふうに意識している人は少ないのではないでしょうか。
この詩を読んで、改めて自分という存在について考えてみるきっかけをもらったような気がします。
お父さんからの最後のプレゼントである真未さんのことを、「私の宝物」と言うお母さん。お父さんの分まで愛情たっぷりに育ててくれている様子が目に浮かぶようです。
そんなお母さんから、「生まれてきてくれてありがとう」と言われて育った真未さん。命の大切さや家族の愛を知っているからこそ、この詩の最後を、「私は、周りの人達、家族、そして自分自身の事を大切にしようと思う。」と結ぶことができたのでしょう。
では、また。