今、小学六年生のAさんがスマホで無料通話アプリの画面を見ながら、何やら呟いていますよ。ちょっと聞いてみましょう。
【Aさん】おもしろい画像があるから見てって言われたけど、へぇ、これね。クラスの男子の顔をアプリで加工してるんだ…。
えっ、どの子の顔が面白いか投票するの?ちょっと悪い気もするけど…、みんなからノリが悪いって、仲間外れにされたくないしなぁ…。きっと、選ばれた子も冗談だって分かってくれるよね。
Aさんは、少し後ろめたい気持ちもありましたが、みんなと同じようにからかうコメントを添えて投票しました。
ところが、しばらくしてAさんが予想もしていなかったことが起こりました。クラスのB君が学校を休むようになったのです。アプリで勝手に加工された自分の顔がインターネットに掲載され、ひどいコメントがついていることを知り、B君はショックを受けました。また、みんなから嫌われているんじゃないかと不安になって、学校へ行くのが怖くなってしまったようです。
【Aさん】もし、私が同じことをされたら、笑ってられるかな…。ううん、きっとショックだと思う。どうしてあの時、そのことをちゃんと考えなかったんだろう…。
今日も休んでいるB君の机を見ながら、Aさんは自分のしたことを後悔しています。
いかがでしたか。
小学生、中学生のスマホ所有率は年々増加しています。それにともない問題となっているのが、いわゆる「ネットいじめ」といわれるものです。
「冗談だから」と、軽い気持ちでやったことが、相手に嫌な思いをさせたり、相手を傷つけたりしたら…、それは「いじめ」になるのです。
ネットいじめで受けた心の傷は深く、長期間にわたって、心身ともに様々な影響を及ぼす可能性があります。さらに、命にかかわる問題につながることもあるのです。
インターネットは使い方を間違うと、誰かを傷つける武器にもなる。誰かに関する投稿や書き込みなどをする前に、ちょっと手を止めて、「もし自分だったら」と、自分に置き換えて考えるようにしたいものですね。ネットの中でも、人への思いやりは忘れずに。
では、また。