今日はまず、中学生とその母親の会話をお聞きください。
【母親】ねぇ。あの子、同じクラスの子でしょ。男の子なのに、どうしてスカートはいてるの?
【娘】なんで、そんなこと言うの!
【母親】だって、お母さんの周りには、そんな子いなかったから…。
【娘】それは、いなかったんじゃなくて、スカートをはきたくてもはけなかっただけ、なんじゃないの?
わが子の言葉に、お母さんは、はっとしたようでした。
様々な性の在り方があることは分かっていたつもりだったのに、実際には、思い込みや偏見で人を見ていたことに気づいたのです。
また、周りにそんな人はいないと決めつけていたことにも気づかされました。
この親子の会話を聞いた皆さんの中にも、「そういえば私も…」と、同じように気づいた人もいるのではないでしょうか。
自分の性別をどのように認識するのか、また、どの性別の人を好きになるのか、性の在り方は人それぞれです。
ただ、性的マイノリティの人は、少数派であるがゆえに本当の自分を言えず、すぐそばにいても存在に気づかれにくく、「サイレントマイノリティ」とも言われます。
けれども、お互いを尊重する心さえあれば、「少数派」「多数派」などと分け隔てすることなく、性の在り方は人それぞれだと考えることが当たり前の社会になっていくのではないでしょうか。
【娘】私の学校にもいろんな子がいるよ。みんな自分は自分のままでいていいんだよ。
いかがでしたか。
令和五年六月、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が施行されました。
国や地方自治体・企業・学校などには、理解を深めるための教育・研修の実施、普及啓発、環境の整備、相談体制の整備といった取組が求められます。
私たちも、誰もがただ「自分のまま」でいられる、そんな社会を目指して、無意識の思い込みや決めつけがないか自分自身に問いかけることが大切です。そして、身近にいる人たちの様々な個性を当たり前に受け入れ、多様性が尊重される社会を築いていきたいですね。
では、また。