今日は、平成二十九年に放送し反響が大きかった、結婚における差別について、自身の体験を書いたある大学生のレポートを改めて御紹介します。
私には、交際して二年になる彼がいます。
私が被差別部落出身であることを知ったのは、二年前のことです。母は涙ぐみながら、住んでいるこの土地が被差別部落だと説明してくれました。以前、母にも結婚したいと思う人がいましたが、部落差別により、結婚できなかったそうです。それは私の姉にまでも影響しました。姉の彼は母親や親せきから反対された結果、結婚する意志をなくし、姉たちの交際は終わったのです。
この姉の体験を語った母は、こう言いました。
「自分が部落の出身だということは、人に言う必要はないし、だからといって、下を向いて歩く必要もない。堂々と胸を張って生きればいい。」
母は人に言う必要はないと言いましたが、私にはどうしても納得できませんでした。そこで私は彼にカミングアウトすることを決意しました。話す前に、本当に勇気が必要でした。これを言ってしまったら、母や姉のように結婚することもできなくなり、今の関係が壊れるかもしれないと思うと、悲しさのあまり涙が出ました。
私が話し終わると、彼は一言「話してくれてありがとう。でも本当は知ってたんだよ。」と言いました。私たちが交際し始めた頃に、彼の両親は、私の住んでいる土地が被差別部落だということを知り、そのせいで別れたりするような心の狭い差別意識を持った人間にだけは育ってほしくないと彼に話をしたのだそうです。
私はその話を聞き、今度は嬉しくて涙があふれました。そして、人権や差別に対してきちんとした考えを持っている彼の両親に、本当に感謝しました。彼の両親が前もって彼にきちんとした人権教育をしていたからこそ、今のこの関係があるように思います。
いかがでしたか。
彼女は、レポートをこんな文章で締めくくっています。
「差別は繰り返されます。親から子へ受け継がれてしまうのです。世の中にもっともっと、人権・部落問題に対するきちんとした教育を受けた人たちが増えれば、部落差別はなくせると思います。そのためにも、小さい頃から、中途半端ではなく、きちんとした人権教育が必要だと思います。」
では、また。