人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2024年11月8日(金)放送
  • テーマ / 拉致問題 ジャンル検索
  • キャッチされないボール

鶴田弥生

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キャッチされないボール

北朝鮮による最初の拉致事件から、五十年近くが経とうとしています。そこで政府は令和五年八月、初の「拉致問題に関する中学生サミット」を開催しました。
 夏休みに全国から集まったのは、五十九名の中学生たち。拉致問題のことを学び、同世代や家族、地域の人に「自分ごと」として考えてもらうにはどうしたらよいかを話し合い、グループに分かれて三十秒のCM動画案を発表することに挑戦しました。
 そのアイデアをもとに制作されたのが「キャッチされないボール」という動画です。

動画では、二人の野球部らしき中学生がキャッチボールをしています。何気ない会話をしながら、ボールを投げ合っていたのですが、ちょっと目をそらし、ボールを投げ返すと、突然相手がいなくなってしまいました。受け取る相手のいないボールが転がり、取り残されて呆然とする少年。「拉致って、つまりそういうこと」というナレーションが心に刺さります。

このサミットでは、一九七七年に拉致された横田めぐみさんの弟で、現在、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の代表を務めている横田拓也さんが講演を行いました。横田さんは、参加者の中学生たちに「自分のクラスの前や横の席の友達が、突然、あした来なくなったらどう思うか、想像してみてください」と話をしました。めぐみさんは中学一年生の時、バドミントン部の練習後、下校途中に拉致されたのです。父親の滋さんは再会を果たせないまま亡くなり、被害者の親世代は減っていくばかり。何とか親世代の命あるうちに再会を果たしたい、と家族の方々は願っています。
 「ある日突然、大切な人と会えなくなるってどういうこと?」 「連れ去られるなんて怖い…」「残された家族はどうなるの?」
 中学生たちは真剣に意見を交わし合いました。今回のサミットを通して、拉致問題が身近な「自分ごと」になった一日でした。

「拉致されるって、どういうこと?」皆さんは、どう思いますか?
 拉致問題は、絶対に忘れてはいけない重大な人権侵害です。この問題を風化させないためには、私たちがもっと関心をもつことが大切です。
 中学生が考えた啓発動画は、YouTubeの政府拉致問題対策本部公式動画チャンネルで公開されています。友達や家族と拉致問題を「自分ごと」として話し合ってみては、いかがでしょうか。
 では、また。